『ゴールデンカムイ』ファンの皆さんにとって一大イベント、「ゴールデンカムイ展」の開催が近づいてきましたね。グッズ情報もどんどん発表となり、気分が高まってきますね。そんな『ゴールデンカムイ』を心から愛する皆さんにおすすめの展覧会を紹介します。
東京都写真美術館で開催中の「写真発祥地の原風景 幕末明治のはこだて」展です。幕末から明治期の函館の景色や、この時代に函館で活動していたカメラマンたちが遺した写真が展示されています。そうです、”あの有名すぎる写真”やそれを撮影した”あの人”の写真を見ることができるのです!
この記事では展覧会の様子を紹介します。「ゴールデンカムイ展」の前、あるいは「ゴールデンカムイ展」と一緒に、この展覧会も見れば、まるで漫画の世界に没入した気分が味わえます!!
『ゴールデンカムイ』ってどんな漫画?
※ここは『ゴールデンカムイ』まだ詳しく知らない方向けです。知っている方は読み飛ばしてOKです。
ヤングジャンプで連載されている野田サトル『ゴールデンカムイ』は明治時代(日露戦争後)の北海道を舞台に、アイヌ民族が残した金塊を巡る金塊争奪バトル漫画。かつてこの金塊を狙い7人のアイヌ人を殺害したとして網走監獄に収容された”のっぺらぼう”。その”のっぺらぼう”が網走監獄の囚人たちの体に金塊のありかを示す刺青を彫り、脱走を企てました。そして囚人脱走事件と金塊の情報を知った者たちによって金塊争奪バトルが始まり、その主な陣営が次の3つです。
他にも様々な魅力的なキャラクターが登場し、時に共闘し、時に裏切り、それぞれの思惑を抱えて”金塊”を求めて走り続けています。(筆者は断トツの尾形推し‼尾形…うぅ)
ゴールデンカムイの世界に通じる「はこだて」展
「感情闇鍋ウエスタン!」な作品でも、今回は特に土方歳三が鍵になります。漫画の主な登場人物の中で、土方歳三と永倉甚八のみ実在した人物で、「現実世界の歴史」と「物語中の歴史」の繋ぎ目になっています。土方歳三をモデルにした(登場する)作品は数多いけれど、実は生きていた設定は本作位ではないでしょうか。(他にあったら失礼しました!)
そして、その土方歳三(現実と物語の歴史)を結ぶ場所が「はこだて」。函館戦争で土方歳三がこの函館の地で戦死したことは有名ですね。「はこだて」は、土方歳三終焉の場所であり、いわば『ゴールデンカムイ』の金塊争奪戦の始点でもあるのです。
では、いよいよ展覧会に足を踏み入れて行きましょう!本展は「1章:はこだての歩み」「第2章:はこだてを捉えた写真家と幕末明治の写真技術」「第3章:はこだて鳥瞰」の3章構成になっています。ちなみに、「はこだて」としているのは、幕末期は「箱館」、明治期に「函館」と表記するようになり、本展では両方の時代をカバーしているためです。
※これ以降の記事には漫画の内容に触れる箇所が多少ありますので、ご注意ください。
第一章|はこだての歩み
第1章は幕末の箱館を表した地図や函館戦争を描いた浮世絵、旧幕臣、新幕府軍の役人を写した写真などが展示されています。近世の”箱館”から近代の”函館”へと移る激動の時代を風景と、かの地で必死に戦った姿を見ることができます。
五稜郭や弁天台場を血眼になって探しました(笑)展示ケース越しではないので近くまで寄って見ることができますが、ぶつからないようにだけご注意を!
こういう写真をみるとつい鯉登少尉のクソコラ写真を思い出さずにはいられない。
土方歳三推し必見!爽やかニシパの姿がここに…
第1章には箱館戦争を描いた浮世絵、旧幕府軍の肖像など、この戦争にまつわる資料も展示されています。という事は…土方歳三の姿も見ることができます。
※土方歳三の文字が…!!!
あの回天丸が!しかも写真を撮っているのが田本研造氏の可能性があるとな?胸アツ過ぎる…
第二章|はこだてを捉えた写真家と幕末・明治の写真技術
第2章では、日本における写真発祥の地のひとつである”はこだて”を写した写真家たちを紹介します。先ほどの田本研造をはじめ函館で写真館を開設した人や、公務で訪れて撮影を行った者など”はこだて”に所縁のある写真家たちの記録が展示されています。また、当時のカメラやガラス乾板など、撮影に使う機材なども展示されており、当時の雰囲気を感じることができます。
漫画にも登場したあのカメラマンの写真が!-田本研造氏の写真ー
漫画の124話「思い出の写真」(単行本13巻)には、土方歳三の有名な洋装姿の写真を撮影したとされる田本研造が登場する。そんな田本研造が撮影した写真も本展ではいくつも展示されている。
田本研造とその弟子らが撮影したとされる写真見本帳
田本だけでなくその他にも、木津幸吉、池田種之助、武林盛一など「はこだて」で活動した写真家たちが残した写真が展示されています。
明治4-13年頃
鯉登少尉さながらの身体能力!!!これを見ると鯉登少尉のあの軽やかな身のこなしは、あながちフィクションではない!?(笑)
このカメラ機は…!あの人も使っていた…かも??
漫画でも鶴見中尉がロシアで長谷川幸一として写真館を営んでいましたね。カメラマンという職業は諜報活動のカモフラージュとして最適だったでしょうね。展覧会では20世紀前半の機材が展示されています。
177話「長谷川写真館」178話「革命家」で長谷川幸一が使用しているカメラもこんな感じでしたね~。ウイルク、キロランケ、ソフィアが長谷川写真館に居たのが1891年(明治24年)以降という事なので、長谷川写真館のはもう少し古いのかな?
第三章|はこだて鳥瞰
1897年に函館に函館要塞置かれ、軍事機密厳守のため、函館山への立ち入りは禁止され、市中での写真撮影でも許可が必要となりました。本章は、これ以前に制作された写真によって明治期の函館を俯瞰します。函館山を望む写真、あるいは函館山から市中を眺めた写真からは函館の壮大なスケールを感じさせます。また、その街中で暮らす人、アイヌの人々の姿や村の様子を収めた写真など、身近な距離で撮影された写真も展示されており、マクロとミクロの視点から”函館”の姿を鳥瞰します。
上の写真は、標津のコタンを写した写真。チセのほか、高床倉庫(ブー)熊檻(ヘ(ベ)レセ(ツ))が写されている。見覚えが‥‥見覚えがある!!!『ゴールデンカムイ』ではアイヌの文化をものすごく丁寧に描いており、漫画を読めばその目に見える表現のためにどれだけの勉強、検証がなされているかは十分わかりますが、実際の写真をみるとまた感慨もひとしおです。
まとめ
展覧会の展示作品は、年代が分かっているもので、だいたい幕末~明治20年代なので、『ゴールデンカムイ』中のリアルタイムより前の「ゴールデンカムイ前史」的ではありますが、明治期の「はこだて」の姿、空気といったものを感じる見応えたっぷりな展覧会です。
函館市中のパノラマ写真を見ると、「この坂道を鯉登少尉誘拐事件の時には下ったのかなー」なんていう想像もしてみたり(展覧会本来の鑑賞とはずれてしまうので大声では言えませんが…)。
なので個人的には、本展を見た後に「ゴールデンカムイ展」に行くのをおススメします。
展覧会概要
写真発祥地の原風景 幕末明治のはこだて
- 開催期間:2022/3/2(水)~5/8(日)
- 休館日:毎週月曜日(ただし3/21、5/2は開館)、3/22
- 料金:一般 700(560)円/学生 560(440)円/中高生・65歳以上 350(280)円 ※( )は当館の映画鑑賞券ご提示者、各種カード会員割引料金。
- 監修:大塚和義 (国立民族学博物館名誉教授)、高橋則英 (日本大学芸術学部写真学科教授)
- 美術館HP:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4041.html
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『ゴールデンカムイ』ファン向けの記事なので、最後まで読んでくださった方は恐らく漫画・アニメファンの方々だと思いますが、「実はまだ読んでいない」という人がいれば、下記から購入できますので!
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