GW中に行きたい!根津美術館「燕子花図屏風の茶会」展

美術

もうゴールデンウイークの予定は決まりましたか?もし「特に決めていない」「1日だけ予定が空いている」という方におススメの展覧会を紹介しますこの時期にしか味わうことのできない贅沢な時間を過ごすことができる展覧会です!

根津美術館の「燕子花図屏風の茶会」展です。展覧会のタイトルを見て「茶道をしている人や日本美術に詳しい人にしか楽しめない展覧会なのでは?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、大丈夫!根津美術館の展覧会の中でも、特にこの時期の展覧会は、ビギナーも美術ファンもどちらも楽しめる内容になっているのです。

美術ファン以外にも、こんな人にもおススメ!

・首都圏在住で、GWの予定はなし(1日ポッカリ空いているよ)という人
・ちょっと特別なことはしたいけど、混雑するところに行くのはちょっと…という人
・根津美術館に行ってみたい人
・「尾形光琳…聞いたことあるような、ないような」という人

展覧会の概要

「燕子花図屛風の茶会」展
場所:根津美術館(表参道)
会期:2022年4/16~5/15
開館時間:10~17時 ※ただし5/10~15日は19時まで開館
入場料:一般1500円、学生1200円 
※オンライン日時指定
※障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料

展覧会HP:https://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html

展覧会のみどころ

根津美術館のコレクションの礎を築いた初代根津嘉一郎(1860〜1940、号青山)が尾形光琳による「燕子花図屏風」を購入したのは大正3年(1914)。以降、嘉一郎は展覧会や茶会で、惜しみなくこの大傑作を披露しました。本展覧会は、そのうち、昭和12年(1937)5月の茶会で取り合わされた茶道具の名品と共に国宝「燕子花図屏風」をご覧いただくものです。 この茶会は5月5日を初日とし、政財界の友人5、6名ずつを招き、約数日間にわたって東京・青山の自邸で催されました。「燕子花図屏風」をはじめ、円山応挙筆「藤花図屏風」「鼠志野茶碗 銘 山の端」など、名品が次々に披露されました。この会の取り合わせは、数ある嘉一郎の茶会のうち、ひときわ荘厳にして豪華といえるものです。 77歳を目前にした嘉一郎の堂々たる布陣をご堪能ください。

展覧会HPより

展示は、「待合席」「本席」「薄茶席」「浅酌席」「番茶席」「茶会記」と、まさに茶会の流れに従って組まれ、まるで茶会に招待された気分で名品の取り合わせを楽しむことができます。

よもつ
よもつ

光琳の《燕子花図屛風》と応挙の《藤花図屛風》を一度に楽しむことができる茶会なんてどんだけ贅沢なんだ!!!こんな贅沢な茶会を味わうことができるのはこの展覧会だけ!!

この時期にしか見られない!国宝《燕子花図屛風》

江戸時代を代表する絵師の一人、尾形光琳。その代表作の一つで国宝の《燕子花図屛風》は根津美術館に所蔵されています。《燕子花図屛風》は、画像の通り、金地の背景に杜若の群生だけがリズミカルに並び、そのデザイン性から光琳の傑作の一つとして高く評価されています。歴史の教科書などでも取り上げられているので、写真などで目にした事もあるのではないでしょうか。その光琳の画業、そして日本の歴史の中でも江戸時代の元禄文化の代表作として名高い《燕子花図屛風》を実際に見ることができる貴重な機会になっています。

どのくらい貴重と言うと、国宝や重要文化財は文化財保護の法律によって、原則「公開のための移動回数は年間2回以内、公開日数は延べ60日以内」と定められています。日本美術で用いられる顔料や紙などの材質は油絵などより光に弱く劣化しやすいため、公開日数が限定されています。

そうした中で、根津美術館では毎年《燕子花図屛風》をこの時期に公開するようにしています。

庭園のカキツバタと《燕子花図屛風》の時空を超えた夢の競演

なぜ毎年GW前後の時期に公開するかというと、実は根津美術館の庭園には実際のカキツバタが群生しており、そのカキツバタが花を咲かせて見頃となるのが、ちょうどこのGW前後の時期なのです!

根津美術館の公式twitterでは、庭園のカキツバタの開花状況もお知らせしてくれています。カキツバタの花が満開になる頃を見計らって訪れるのも一興です!

初夏の燦燦と降り注ぐ陽光で輝くカキツバタの花に心が洗われる心地ですが、この穏やかな光景を見れば見るほど、また光琳の《燕子花図屛風》の表現の特異さにも気づかされます。画像では分かりづらいですが、花は顔料を厚くぽってりと塗り、パターン化されてリズミカルに配置された構図など、自然風景の描写からは離れて画面の中に独自の世界が構築されているのが分かります。《燕子花図屛風》は『伊勢物語』を題材にしているとされているので、当時一般的に共有されていた文学世界のイメージ、また呉服商の息子であった光琳の工芸的なデザイン感覚が反映されているといわれています。

毎年趣向を変えて《燕子花図屛風》を愛でる

《燕子花図屛風》は毎年GWの時期に公開されていると言いましたが、《燕子花図屛風》に関しては「1度見れば十分」ということは決してありません。むしろ1度来たら毎年来たくなりますし、毎年来ることをお勧めします!

なぜならば、その年ごとに毎回趣向を変えて《燕子花図屛風》を公開しており、同じ作品目当てに観に来ても、一緒に展示される他の作品との組み合わせで見えてくること、感じることが違います。

例えば、これまでの《燕子花図屛風》の展覧会の一部を見てみてもその趣向はバリエーションに富んでいます。

2021国宝燕子花図屏風  色彩の誘惑」展《燕子花図屛風》で使用されている「群青」「緑青」、そして背景の「金」という色に注目し、日本・東洋美術(仏教美術)などでそれらの色がどのような意味合いで用いられたかを展観する。
2019「尾形光琳の燕子花図 寿ぎの江戸絵画」展《燕子花図屏風》が『伊勢物語』の一節「八橋」の場面に基づくと言われることから、江戸時代の人々における王朝文学への憧れや、名所を愛でる文化などを振り返る。
2018光琳と乾山 芸術家兄弟・響き合う美意識」展尾形光琳と、その弟の尾形乾山。類まれな芸術家兄弟は互いに己の芸術を極め、また時には合作を制作し、豊潤な作品を多く残してきた。その両者の芸術を一望する展覧会。
2017「燕子花図と夏秋渓流図」展江戸琳派の酒井抱一の弟子の鈴木其一。根津美術館には其一の代表作《夏秋渓流図屛風》も所蔵しており、その両者の競演となる。元禄時代の京都で活躍した光琳と、幕末の江戸で活躍した其一。時空を超えた”琳派”の絵師の夢の競演となった展覧会。
2014燕子花図と藤花図
光琳、応挙 美を競う」展
光琳が生きた時代から約70年後、同じ京都で円山応挙が描いた《藤花図屏風》と《燕子花図屛風》が競演する展覧会。どちらも金地に植物を描いた作品という共通する部分もあり、一方で写生を第一とする応挙の眼差しと、今でいうデザイン感覚に冴えた光琳の違いも感じる展覧会。

私自身、この《燕子花図屛風》の展覧会はなるべく観に行くようにしています。4月は桜、5月はカキツバタ(燕子花図屛風)と、もはや春に花見をするのと同じくらいの年中行事となっています。

さらに茶会気分を味わう!庭園内茶室「披錦斎」で抹茶・和菓子セット

本展の期間中、庭園内にある茶室「披錦斎」では抹茶と和菓子のセットを楽しむことができます。名品たちの美の競演を眼で楽しんだ後は、ぜひ茶室で”燕子花”の茶会を味わってみてください!

いかがでしたか?コロナ禍で遠出を控えている方も、表参道の閑静な場所に位置する根津美術館で、心を満たすゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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