茶道具を中心としたコレクションで有名な五島美術館の「茶道具取合せ」展に行ってきました。
茶道の世界では1月は初釜の季節。私も来週初釜を控えていますが、その前に五島美術館で名品の数々を堪能してきました。
《破袋》をはじめ名品ズラリ
展覧会では、「美術館の顔」ともいえる重要文化財《古伊賀水指 銘 破袋》をはじめ、茶碗、茶杓、床掛けの軸など名品が多数展示されています。
《唐物肩衝茶入 銘 安国寺》
今回特に魅力的だったのは、《唐物肩衝茶入 銘 安国寺》。大ぶりな茶入で、黒飴雄に白鼠色の反転が浮かぶ妖しくも美しい品。
本作は付属する11点の仕覆(茶入を入れておくための袋)も見物。しかも今回は龍村織物が製作した復元仕覆も併せて展示されているので、技術の美意識が継承されていくさまも感じることができます。
武将・茶人たちの手紙
また、豊臣秀吉、竹野紹鴎、千利休、古田織部など戦国時代の武将・茶人の文も見ごたえあり。
今年になって朝活でくずし字を読む勉強を始めたので、これまでよりは読めるようになった!読めるようになると、ぐっと作品の理解が深まるし、これまで流してきた書体についても目が行くようになった。
利休が大徳寺の住持に送った手紙で、愛用していた茶壺「橋立」を誰にも(秀吉)渡さないでほしいということをお願いしている消息も展示。《横雲の文》という名は、手紙の最後に利休が詠んだ歌にちなんでいます。
「よこ雲の かすみわたれる むらさきの ふみととろかす あまのはしだて」
やがて秀吉の命によって自刃する利休。その運命を思うと、たなびく雲と天橋立をかけている心に寂寥感も感じられます。
樂家4代の黒樂
さらに興味深かったのは、樂茶碗の家元である樂家の初代~4代までの黒樂茶碗の展示でした。
・初代長次郎…《銘 千声》
・2代常慶…《銘 悪女》
・3代導入(のんこう)…《銘 三番叟》
・4代一入…《銘 若松》
並べてみることで、初代から4代までの樂茶碗の作風の展開を感覚的に理解することができます。長次郎の最初にして完成形の厳しい佇まい、常慶がそのエッセンスを追求しさらに凝縮しようとする試み、導入がそこから解放されるように艶と軽やかさを獲得し、一入がそこに朱釉(しゅぐすり)でさらに発展させる。
銘を見る限り、新年のおめでたい季節に合わせて作品を選定しているのだと思うのだが、常慶の《悪女》が気になる。何か言われなどあるのかしらん。
見ごたえの多い作品ばかりが並ぶ本展。新年から名品を味わる慶びを分かち合いましょう!
2月16日までなどで、お見逃しなく。
庭園は冬の姿
広大な敷地の庭園は、冬のわびしい姿でしたが、冷たい風も含めて冬枯れの風情を楽しみました。
ソテツを保護している様子ですが、まるで現代アートの作品か、何かのオブジェみたい(笑)。風情ある日本庭園の中で妙な存在感を放っています。
五島美術館の「美の友会」
五島美術館のメンバーシップ「美の友会」では、加入すると1年間、展覧会が何度でも無料で観ることができるほか、講座、陶芸講座などの参加も可能だ。
昨年知り合いから陶芸講座の話を聞いてぜひ参加してみたいと思い、今回初めて「美の友会」に入りました!また陶芸講座に参加したらどんな感じだったのかご報告できればと思います。
茶道に関する勉強をしようと思ったら、すごく役に立ちそうな講座ばかり。ぜひご検討ください!
美の友会についてはこちらを参照。
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