「英会話を習いたい」「今年こそは英語を話せるようになりたい」と思っていつも挫折していませんか。かくいう私もそうです。かれこれ数年英会話スクールに月1万払っていますが、明確なモチベーションがないので予約もしたりしなかったり…「もう辞めようかなー」と思った昨年、更新料2万が引き落とされてしまったため「ここで辞めたらいよいよもったいない!」と思い、レッスン以外にも勉強する時間をもうけねば!と(ようやく)気づきました。
そこで、最初に手にした1冊がCozy氏の『海外ドラマはたった350の単語でできている』。本書の内容、そして使い勝手などを紹介します。
本書について
著者プロフィール
1982年、奈良県生まれ。大学院(博士)を修了後、アメリカで医学系研究員として2年間勤務。アメリカでの英語出来なさすぎ、苦しすぎ体験をきっかけに2012年にブログを開設。帰国後も研究者として働く一方、海外ドラマや映画を使った「わかりやすくて楽しい英語学習方法」をブログ、メルマガで発信し続ける。2017年、ブログの内容をまとめた『海外ドラマはたった350の単語でできている』(西東社)を出版し、Amazon Kindleランキング第1位を獲得、韓国で翻訳出版されるなど、好評を得ている。
Amazon著者プロフィールより抜粋
本書の構成
本書は、大きく「4章+特別付録」で構成されています。
- chapter1:本当に必要な英単語は350個⁉
- chapter2:正しい英会話学習法
- chapter3:短時間でスピーキング力をレベルアップ
- chapter4:100%リスニングを身につける方法
- 練習問題
中田敦彦さんがyoutubeで紹介
ちなみに本書は中田敦彦さんがyoutubeで紹介しています。
※本書については9:24~になります。
実際に使用した感想
さて、ここからは実際に私が読んで(使って)みての感想になります。
タイトルの「350語」は”釣り”?
本書のタイトルにある「350」という数字、英会話に悩む人には希望のように感じますね。でも実際に読んでみると、期待していたこととズレてたと感じました。
この350という数字は、海外ドラマ「SEX and the CITY」全話通して登場する全単語約12,000語の内、100回以上登場した単語(全体の80%)の数のことですが、実際の350語の一覧表を見ると、「I」「you」などの代名詞、「a」「the」などの前置詞も含めた集計になっており、「そりゃまぁ頻出するよね」という感じです。
それでも、それらを含めて350語で基本的な日常英会話がカバーできるというのであれば良かったのですが、後半の具体的なスピーキング練習やリスニング練習の章で例文として出る「wonder」「figure」などの単語がランキングには入っていません。「本の中の例文ですら350語に入ってないんかーい‼」と思わずツッコミそうになりました。
本書(のタイトル)は「海外ドラマ(の中でもSEX and the CITY)は350語でできている」だけであって、「350語で英会話ができる」とは言っていないので、まぁ嘘をついているという訳ではないのですが、といっても「ちょっとタイトルはズルいな」とは思いました。
ですので、本書に掲載されている具体的な「350単語」、ひいては「chapter1」自体はあまり重要ではなく、端的に言えば、「日常会話なら、闇雲に膨大な単語を覚える必要なし。単純な単語を使えばOK」ということをもっともらしい統計で言っているだけです。
本書の価値は「chapter3」以降
では、本書が”使えない本”なのか、というとそれも違います。実際に使ってみて、chapter2以降の説明やスピーキング、リスニングの練習方法(ステップアップの仕方)などは、理にかなっていると感じました。
chapter2では、英語の勉強をするにあたって、どうステップアップしていくべきなのかのイメージを説明しています。英語学習で重要なのは「英語」と「自分」の距離感を縮める事、そして会話を「キャッチボール」にたとえて、必要なのは”瞬発力”であることを、著者の経験談と図解でサクサクっと解説しています。1~2章はざっと読めば十分です。
スピーキングのステップアップ
リスニング、スピーキングが特にできない私(を含め大体の日本人)にとって、参考になるのは3章のスピーキング力を上げる方法です。本書では4つのレベルに分けてそれぞれのゴールとそのための練習法を紹介しています。
レベル | 方法 | ゴール |
---|---|---|
レベル1 | 1秒英作文 | ①時制を正しく使えるようになる ②単語の断捨離 ③英語の着回し |
レベル2 | 1秒Q&A | 英語を”自分事”として話す |
レベル3 | 自分フィルター英作文 ①感情フィルター ②認識フィルター ③意見フィルター | 心の動きを構文で表現できるようになる (複文で会話ができるようになる) |
レベル4 | 決まったフレーズを覚える | ”思いやり”の言葉を使えるようになろう |
巻末に各レベルの練習問題が付録されているので、各レベルの重要な点を意識することができます。例えばレベル1の「時制を正しく使えるようになる」では、現在形、過去形、未来形の問題がランダムで出されます。中学校の文法問題などでは、現在形セクションは現在形の問題ばかり、過去形セクションでは過去形の問題ばかり、という出題とは違うので、より”瞬発力”を鍛えることができます。
オンラインの英会話レッスンだと、「目の前(画面の向こう)の先生に早く何か返さないと」という焦りと、先生も優しいので文法や時制が多少めちゃくちゃでも汲み取ってくれるので、いつまで経っても時制や文法が甘いままでしたが、本書を読み、練習問題をすることで「時制や文法への意識」が向くようになりました。
本書の練習問題は要点だけおさえた最小限の分量なので、ここで「時制」や「構文」のエッセンスを掴んで、日々の日常生活の中で英文を瞬発的に作る練習をするのが良いかなと思います。
リスニングは方法のみ伝授
本書でリスニングの練習ができるようにはなっていません。本書では英語字幕表示ができるドラマやアニメを使ったリスニングの方法、その際の注意点をレベル別で紹介しています。ですので、「1冊でスピーキングとリスニングの練習ができる」という事ではありません。(CDや音声ダウンロードなどもないので、本書がリスニング教材になるとは思わないでしょうが、念のため言っておきます)
ただ、リスニング力をつけるためのレベル分け、各レベルの練習方法については「なるほど、まずはこういう方法でやればいいのか!」という気づきや参考になる事はあります。
まとめ
本書はフルカラーでイラストや図を多用し、また著者の経験談や語り口もカジュアルなので非常に読みやすく、それぞれのポイントを端的に説明する内容になっています。ですので、既に多少英語の勉強をしている人には、参考になる箇所もあるかもしれませんが、ちょっと物足りないかもしれません。
逆に、これから「英語の勉強をするぞ!でもやり方が分からない…」という人にはまず最初の1冊としては入りやすいと思います。(あるいは苦手意識の克服にも良いかもしれません)
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