「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」@うらわ美術館

美術

川瀬巴水、吉田博、と近年注目が高まる新版画。正月休み中の1月5日、うらわ美術館で開催中の「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」に行ってきました。

圧巻の質と量。新版画の真骨頂

美術館入り口

明治期~昭和期に制作された木版画で、近代化する画題を描いたり、独自の表現技法を用いることで、それまでの浮世絵とは異なり、当時のモダンな感覚が投影されています。その新版画制作の中心となったのが、版元・渡邊庄三郎でした。

メインビジュアルはフリッツ・カペラリの《鏡の中の女(立ち姿)》

展覧会では、新版画をけん引した庄三郎の功績を、画家たちとの交流や制作エピソードを交えながら紹介します。

版元・渡邊庄三郎の店は現在も「渡邊木版美術画舗」という名前で銀座に店を構えています。本展は渡邊木版美術画舗の協力の元、貴重な初摺やフィルム、木版画制作に必要な道具なども展示されており、新版画の世界の神髄を余すところなく観ることができます。

よもつ
よもつ

特に会場の最後に上映されている川瀬巴水の製作風景のフィルムには感動!!貴重過ぎる。。。

とにかく作品の状態がいい。新版画の絶妙な色彩のグラデーション、新版画独特の技法「ざら摺」の風情にうっとりする。日本的だけど江戸時代の浮世絵とは違う繊細さを見せれば、大胆な構図、モチーフにドキッとすることも。

新版画の面白い点は、中心となった画家の中には、エリザベス・キースやフリッツ・カペラリなど外国人画家がいること。日本を訪れた彼・彼女らの眼に新鮮に映ったであろう日本の光景。その新鮮な眼差しで、日本の姿を捉えている。

また吉田博や川瀬巴水らが、同じ版木を使って時間(季節)の異なる風景を描いた作品もいくつか展示されていたが、まるでモネが描いた「ノートルダム大聖堂」のような趣向を新版画でも行っていたことも楽しい。

新年早々「新版画の真骨頂」というべき作品の数々に圧倒されます!!

展覧会は1月19日までなのでお見逃しなく!!

「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」

会場:うらわ美術館
会期:2024年11月16日(土曜日)〜2025年1月19日(日曜日)
休館日:月曜日(1月13日は開館)、年末年始(12月27日~1月4日)、1月14日(火曜日)
開館時間:午前10時から 午後5時(金曜日・土曜日は午後8時)まで
     ※ギャラリーへの入場は閉館の30分前まで
観覧料:一般 620円 大高生 410円 中小生 200円 ※各種割引はHP参照
HP:https://www.city.saitama.lg.jp/urawa-art-museum/exhibition/whatson/exhibition/p116896.html

同時開催「うらわ美術館収蔵品展:近年収集した現代アートより」も注目!

ギャラリーDでは、美術館の収蔵品展として近年収集した現代アートの作家6人を紹介。

本展の中では、西村陽平 《記憶と時間-岩波文庫の焼成からの断片的な考察》が実に面白い作品だった。一見、ぐしゃぐしゃになった塊、あるいはフリルのように見える61点のものは、元々はれっきとした「岩波文庫」だった。特殊な技法で岩波文庫の書籍を焼成しているのだが、面白いのは同じ「岩波文庫」でも、出版された年代によって使われている紙やインクが異なるために、焼かれた後の姿が全く異なるのだ。粘土のような姿のものもあれば、フリルのようなものなど…。

そして、何より私の心を打ったのは、紙は残るのにインク(文字)だけが消えてしまうことだった。言葉が先に奪われてしまうのか…と。思わず「焚書」という言葉が浮かんだ。

HP:https://www.city.saitama.lg.jp/urawa-art-museum/exhibition/whatson/exhibition/p116894.html

1階のカフェでいっぷく

美術館がある「ロイヤルパインズホテル浦和」のカフェでは展覧会限定のスイーツをはじめ、パフェやケーキなどさまざまなスイーツを楽しめる。

コラボスイーツも気になるところだが、和栗のショートケーキの誘惑に勝てず(笑)

和栗ショートケーキとコーヒーセット

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