【2024年】今年の展覧会ベスト10

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2024年の展覧会ベスト10を発表します!

昨年同様、10個に絞り切ることができなかったので、今年も昨年と同じく「1会場から1展の選出」ルールに則り、「ベスト10」入りはできなかったけど、落とすには惜しい展覧会についてはコメントのところで「次点の展覧会」略して「次展」として紹介します。

(ちなみに、ベスト10の順番は特にランク順と言うことではありません)

「本阿弥光悦の大宇宙」展@東京国立博物館

「書」「陶芸」「工芸」と各分野の光悦作品の代表作が集うという点ももちろん素晴らしいが、法華宗の影響(光悦の芸術世界を形作る背景)にしっかりと焦点を当てていた点が選出理由。

空海@奈良国立博物館

空前絶後のスケールで体感する空海の足跡と密教世界
空前絶後のスケールで体感する空海の足跡と密教世界。生誕1250年記念特別展「空海 KŪKAI ― 密教のルーツとマンダラ世界」が、奈良国立博物館にて2024年6月9日(日)まで開催

第1展示室の展示にまず圧倒され、出オチにならずに以降の展示も見ごたえがあり、どんどん引き込まれていく展覧会だった。

日本の仮面@国立民族学博物館

祈り、畏れ、憧れ―「仮面」の神秘と歴史に迫る
祈り、畏れ、憧れ―「仮面」の神秘と歴史に迫る。「日本の仮面――芸能と祭りの世界」が、国立民族学博物館にて、2024年6月11日(火)まで開催

能面の展示は多くあるが、祭礼用の仮面も含めて紹介した展覧会は珍しい。民族学博物館だからこその、祭礼の様子の映像などは大変見ごたえがあった。「芸術」ではなく「信仰」「年中行事」という土着的な文化に根付く人間の営みを感じた。

「福田平八郎」展@中之島美術館

今年は「福田平八郎に出会った年」と言っても過言ではないかもしれない。その位に強烈なインパクトだった。《漣》は元々好きな作品だったけど、その他の作品についてはそこまで知らなかったので、逆になぜ私は今まで見落としてきたのかと反省する次第。

次展は「塩田千春」展。「これぞ塩田千春」という糸のインスタレーションは言わずもがな、素晴らしかったが、特筆すべきはインタビューと過去作品についてのドキュメンタリー映像の展示。改めてその芸術の根源、軌跡をたどることで、”映え”るインスタレーション作品の精神性を感じることができるように設計されている点がよかった。

「Nerhol」展@千葉市美術館 鳥文斎栄之

目に見えない時間の移ろいを彫るNerholの世界
目に見えない時間の移ろいを彫るNerholの世界。「Nerhol 水平線を捲る」が、千葉市美術館にて2024年11月4日(月・振) まで開催

写真を重ねて層にして、それを彫ることで作られるイメージに心奪われる。その場所の持つ時間の積み重ね、記憶を、まさに掘り起こすような作品群。年始の「鳥文斎栄之」展の内覧会で初めて彼らの存在を知り、表参道のギャラリー出の展示で一目惚れしたアーティストだったので、本展の大型の個展はありがたい機会だった。

次展は「鳥文斎栄之」展。今年の展覧会初めが本展だったが、よい1年のスタートになった。世界初にして決定版とも言うべき本展で、鳥文斎栄之の浮世絵の魅力が存分に感じられる展覧会だった。

“世界初”にして“決定版”- 武士から浮世絵師となった鳥文斎栄之の画業を一望する展覧会
“世界初”にして“決定版”- 武士から浮世絵師となった鳥文斎栄之の画業を一望する展覧会。「サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展」が千葉市美術館にて2024年3月3日(日) まで開催

西川勝人@DIC川村記念美術館

西川勝人が作り出す「光と闇の間(あわい)」をただよう
西川勝人が作り出す「光と闇の間(あわい)」をただよう。「西川勝人 静寂の響き」が、DIC川村記念美術館にて2025年1月26日(日)まで開催

作品が置かれる場所の重要さを痛感した展示。美術館がクローズしてしまうことは残念だけど、最後に見る展示が本展で良かったと思った。自分が普段使っている言葉、つまりは認識している「こと」と「こと」の間には、無限のグラデーションがあることを感じることができた展覧会。

アブソリュートチェアーズ@埼玉県立近代美術館

芸術家たちは椅子を使って何を表現したか。 「アブソリュート・チェアーズ」
芸術家たちは椅子を使って何を表現したか。「アブソリュート・チェアーズ」が、埼玉県立近代美術館にて2024年5月12日(日)まで開催

「椅子」がアートの世界でどのような象徴として用いられてきたのか、という斬新な切り口が素晴らしい!人間の体に沿った形状だからこそ、人間のプラスな面もマイナスな面も表現し得るものなのだと気づいた展覧会。

舟越桂展@箱根彫刻の森美術館

彫刻家・舟越桂の軌跡と、最後に遺した思いに触れる
彫刻家・舟越桂の軌跡と、最後に遺した思いに触れる。「彫刻の森美術館 開館55周年記念 舟越桂 森へ行く日」が、彫刻の森美術館にて2024年11月4日(月・振)まで開催

惜しくも展覧会の準備中に逝去した舟越桂。その生前の思いがこもった展覧会。展示作品数はそれほど多くないものの、初期作品から近年の作品までの重要な作品や、病床中に描いた作品なども展示され「集大成」のような展示。彫刻の森美術館の空間と、舟越作品の静謐さの調和が心地よかった。屋外の森の中に作品を置いたメインビジュアルは、今年1番のデザインだと思う。

デ・キリコ展@東京都美術館

「デ・キリコ」について、ここまでの規模で取り上げた展覧会は稀。有名なマネキンの作品や、屋外の白昼夢のような作品を多数見ることができ、没入感が半端ない展覧会だった。

シアスター・ゲイツ展@森美術館

「アフロ民藝」というワードに若干のいぶかしみを持って見に行ったら、これがめちゃくちゃ面白かった!という良い意味で期待を大きく裏切られた展覧会。茶道を習っているものとしても、民藝に対する解像度の高さに感服すると同時に、それをさらに黒人差別の問題と絡めるというクレバーさ、思慮深さに敬服する次第。

《特別賞》信長の手紙@永青文庫

ベスト10に選出するには、選出理由が少し個人的過ぎる展覧会については「特別賞」ということでご紹介します。

新発見も含めた60通の「信長の手紙」を全点公開―浮かび上がる戦国武将の“リアル”な姿
新発見も含めた60通の「信長の手紙」を全点公開―永青文庫所蔵の手紙から浮かび上がる戦国武将の“リアル”な姿。永青文庫にて、令和6年度秋季展「信長の手紙」が12月1日(日)まで開催

「手紙ばかりの展示って地味じゃない?」というイメージを一蹴するような充実した展覧会。手紙の1文字1文字から、戦国時代の武将たちのリアルな姿が眼前に浮かび上がるような感覚に襲われた初めての体験をもたらしてくれた!

《特別賞》須田国太郎@世田谷美術館

洋の東西を見つめた洋画家・須田国太郎の世界 ―旅・幽玄、そして真理へ―
洋の東西を見つめた洋画家・須田国太郎の世界 ―旅・幽玄、そして真理へ―。「生誕130年 没後60年を越えて 須田国太郎の芸術――三つのまなざし」が世田谷美術館にて2024年7月13日(土)より開催

「旅」「能(幽玄)」「真理」というテーマで須田の芸術世界を展観する展覧会。私自身が金剛能の謡・仕舞を習っていることもあり、須田が金剛流の謡を習っていたことに縁を感じた。そして、本展の内覧会で大学時代の恩師と遭遇した奇跡も起きた思い出深い展覧会。

以上で、2024年の展覧会ベスト10は終わります。今年も素敵な作品、展覧会の出会いに感謝と感激の1年でした!

来年も素敵な展覧会、作品と出会うことができますように!

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