吉野の旅②下千本編

旅行

奥千本の入口からシャトルバスで下千本の竹林院前に下車。

竹林院

聖徳太子の創建と伝わる寺院で、格調高い宿坊としても有名。
護摩堂に安置されている聖徳太子坐像は南北朝時代の作です。
庭園の群芳園は千利休が作庭し、細川幽斎が改修したといわれ、 大和三庭園のひとつにもなっています。

吉野観光協会

庭園をさらりと見学。庭園内にある小高い丘からの景色も清々しい。

「陀羅尼助丸」を販売する老舗・藤井利三郎薬房

「陀羅尼助」とは、吉野・大峯山系に伝わる胃腸薬。この藤井利三郎薬房は約300年前から陀羅尼助を製造・販売している老舗。

店内にはやたらと蝦蟇の置物が並んでいる。この時は特にそういうものかと妙に納得してしまったが、後から気になったので調べてみた。

結論から言うと、なぜなのかははっきりとしていない。ただ色んな伝説が吉野辺りにあるようで、例えば、

①役行者の母親が「金色の蛙」の眼をつぶしてしまった自責の念にかられ、後に母が死んでしまう。それを悲しんだ役行者は修験道を開き、蛙を供養し、母の菩提を弔った。

②奈良の三室山には3本足の蛙がおり、その蛙が鳴けば他の蛙たちも鳴きだす。

こうした伝承+中国の3本足の蝦蟇にまつわる伝説や伝承、あるいは蝦蟇の薬効などの知識が混ざり合って、「陀羅尼助」を象徴するものとなったのではないかということらしい。

この蝦蟇がひしめく薬種問屋の門構えの風情、それもまた「吉野」という地に根付く信仰の形かもしれない。

吉水神社

個人的には今回の旅で見た範囲で、一番「宝の宝庫!!!」とテンションMAXになったのが吉水神社。

まずは「一目千本(ひとめせんぼん)」と呼ばれる境内からの景色にうっとり。

「一目千本」と呼ばれるほど絶景が広がる

もとは金峯山寺の格式高い僧坊でしたが、明治の神仏分離によって神社となりました。
源義経が弁慶らと身を隠したこと、後醍醐天皇の行宮であったこと、豊臣秀吉が花見の本陣とした等の歴史的逸話で知られています。

吉野観光協会

書院は拝観料を払うと見学することができ、建物内部のほか、吉水神社にゆかりある人物にまつわる品々が展示している。

義経、後醍醐天皇、秀吉と、その時代時代を象徴する人物たちが、さまざまな理由でこの場所にいたのだと思うと、「日本史」あるいは「日本文学」の世界が凝縮されたような感覚になる。

後醍醐天皇の玉座

『義経千本桜』の世界さながら。義経・弁慶ゆかりの品々

義経の鎧
静午前所持の鎧
佐藤忠信所持の兜
弁慶の七つ道具

『義経千本桜』でも義経が佐藤忠信(実は源九郎狐)に鎧(着長)を与える場面があるが、そうしたストーリーもこうした品々から着想されたのだろうかと想像が膨らむ。

北闕門(ほっけつもん)

書院の奥にあるこの「北闕門」。後醍醐天皇も朝と夕方、京都の方角の空を仰いで邪気祓いの「九字」を切ったと言われており、後醍醐天皇が京都に凱旋する時の門だったという。また、楠木正行も出陣にあたり「九字真法」の印を切り結んだと伝わる。 

参拝客も「九字」の印を切り結ぶことができる。自分の人生の中で「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」(りん・ぴょう・とう・しゃ・かい・じん・れつ・ざい・ぜん)の言う日が来るとは。

「九字」の切り方については吉水神社のHPをご参照ください。

勝手神社

境内には、源義経と別れた静御前が捕らえられ、社前で法楽の舞を舞ったとされる静御前の舞塚がある。後方の袖振山は、大海人皇子が奏でる琴の音色によって天女が舞い下りたと言い伝えられ『五節の舞』発祥の地とされている。社殿は平成13年に焼失したが、令和7年秋に再建された。

https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/01shaji/01jinja/04south_area/kattejinja/

勝手神社は無料で拝観できる。思いのほか吉水神社を堪能しすぎてしまったため、金峯山寺の拝観時間など残り時間が気になり、あまり深く拝観できず。無念。

金峯山寺

吉水神社の秘宝たちに目と心を奪われた後は、ようやく吉野旅の要である「金峯山寺」に。本殿にお参りができれば御の字と思っていたところ、ちょうど本尊である巨大な3体の蔵王権現立像の特別開帳のタイミングだった。

金峯山寺蔵王堂

金峯山寺は吉野山のシンボルであり、修験道の総本山。
蔵王堂は正面5間、側面6間、高さ約34m、檜皮葺き(ひわだぶき)の、東大寺大仏殿に次ぐ木造大建築。蔵王権現像(重文)3体がまつられ、本尊は高さ7mにもおよびます。

吉野観光協会

ちょうど奈良博の「吉野・大峯展」でも、VR映像でこの本尊の原寸大の大きさを体感するコーナーがあったが、その翌日に実物を生で見ることができるとは、なんという僥倖!!!!

本尊の見学は、内陣の中まで入り、本尊の前に設けられた個別拝観用の小部屋に入っていき、その中で1人1人静かに蔵王権現に向き合うことができる(30秒~1分程度?)。どの小部屋に入るかは選べないので、そこは運なのだが、私はちょうど真ん中あたりの部屋に入ることができ、中心から観ることができた。

やはり映像では再現しきれない色彩(剥落・退色具合も含めて)積み重ねてきた時間の重さは本物を見なければ感じることはできない。

おわりに

吉野駅を15時台に出る急行電車に乗るため、金峯山寺から吉野駅までの道のりをケーブルカーで多少ショートカット。(下り&それほど長い距離でもないので、普通に歩いて降りても間に合ったかなと後で後悔(笑))

ケーブルカー(400円)

朝10時~15時までの滞在時間の割には存分に吉野山を満喫できたかなと個人的には満足だったけど、後から金峯山寺の仁王門やその他の名所に行けていないことにも気づいた。あまり土産物やご飯どころでゆったり楽しむということもできなかったので、またいつかさらに濃密な吉野旅をしたいな。

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