いよいよこの「聖地巡礼」の旅も最終章へ突入しました。最後の函館は1泊2日で下記の場所を巡ります。
〔9月1日〕
①8:20~9:00 大沼公園(大沼公園駅名物のだんごを購入のため)
②10:00~13:00 五稜郭
③15:00 土方歳三最期の地碑
〔9月2日〕
④9:10~10:00 土方・啄木浪漫館
⑤11:00~11:30 函館市北方民族資料館
⑥12:30~13:00 旧ロシア領事館、土方供養碑
14時前に函館駅に戻りお土産購入。15時の空港行きバスに乗って函館空港へ
16:45函館空港発→18:00羽田空港着
①の大沼公園は函館駅から距離があるので同じエリアとは言い難いですが、ざっくり②~④が五稜郭・湯の川エリア、⑤~⑦が函館山エリアに分かれるので、それぞれのエリアでまとめて周るのが効率的です。
五稜郭に行く前に食べておきたい「大沼公園駅名物のだんご」
夜行バスで函館駅に到着。駅の横には函館名物の朝市もありますが今回はパス。なぜなら私には大沼公園駅に移動しなければならない理由がある!なにがあるかって?雄大な大自然…もちろんそれはそうなのですが、大沼公園駅名物の「沼の家」のだんご!
サッポロビール工場での激戦後、最終決戦の地・五稜郭に向かった鶴見中尉に、別ルートで移動してきた鯉登少尉が鶴見中尉にお土産として差し出す場面。あの団子を食べずして五稜郭には突撃できない!
大沼公園の大自然をチラ見、そしてあの包装紙の現物を見る!!
…ということで、函館駅から普通列車で約1時間揺られて大沼公園駅に8:20に到着。これまでの旅の疲れと夜行バスでの眠りが浅かったせいか車中で爆睡。乗客のおじ様に肩を叩かれてようやく目が覚める。終点が大沼公園駅で本当によかった。
「沼の家」の開店は8:30~、大沼公園駅から五稜郭へ戻る電車は次は特急「北斗」の9:08。
開店直後に買って隣の大沼駅まで歩けば、一番早く&普通列車で安く五稜郭(or函館)に戻れるのですが、間に合わなかった時のリスクを考えて、大沼公園駅から特急「北斗」で五稜郭駅に戻るプランに。
長閑な町で朝から店前で10分も待っていたら店の人をビビらせてしまうかなと思い、せっかくなので大沼公園を行ける範囲まで歩くことに。駅を出て左手側を歩けば一番早く大沼公園の一部を見ることができそうだったので、10分ほど歩く。
清々しい朝の空と大沼の静かな湖面という雄大な景色。これでも大沼公園のほんの一部分でしかないと思うと、その広さと雄大さはいかばかりか。とんがった形が特徴的な駒ヶ岳はその山頂部分が雲に隠れて見えなかった。くそぅ。だんごだけ買って早々に帰ろうとする輩にそう易々と見せてたまるかという山の神の思し召しだろうか…。それはそうだ…。
旅から帰った後、高校時代の友人が家に遊びに来たので、当時の修学旅行の写真を見返していたら、大沼公園に来ていたことが判明!!写真見ても全く記憶にない(笑)やっぱり旅は能動的でなければ意味がないなぁ~と実感。
それでも大沼公園の雰囲気を感じ、お店に戻る。そしてとうとうあの「団子」を購入!!
賞味期限は当日中まで。せっかくなので「しょうゆ・あん」「しょうゆ・胡麻」の小折をそれぞれ購入したら、お店の人に「本日中にお召あがりください」と念を押されてしまった。
「安心してください!(私の胃袋には)入りますから!」
と心の中で答えて、無事に購入。特急「北斗」で五稜郭駅に向かいます。特急「北斗」は自由席でも新幹線のような座席のテーブルがあるので、五稜郭に向かう間にいざ実食!(本当は五稜郭周辺で食べるのが鶴見中尉感を味わうのにはいいのかもしれませんが)
車内で「しょうゆ・あん」を朝ご飯代わりにペロリと平らげる。一見多そうに見えますが、だんご1個が小ぶりなので、2つでちょうど通常の団子1つ分くらいのボリューム感です(それでも多い?笑)。みたらしのタレがあっさりとしているので甘ったるくありません。あんの方もこれまたスッキリとした味わい。だんごも柔らかくてついつい楊枝が進む!!
私はみたらし団子分のカロリーを消費するため五稜郭駅から徒歩30分かけて五稜郭に行きましたが、基本的には函館駅からバスで向かうルートの方が便の本数も多くて便利です。
結局、五稜郭散策後に軽い熱中症なのかバテてしまったので、無理は禁物。行ってから気づきましたが、日陰になるようなところも多くないので、帽子や日傘など日差し対策が必要です!
いざ突撃‼最終決戦の地「五稜郭」
たらふくのみたらし団子を腹に収めて五稜郭に到着。観光客や修学旅行生たちで朝から賑わっています。
一の橋
「おはようございます!!」
心の中で元気よくつぶやきます。これがしたいがために北海道まで来たといっても過言ではない。網走からの長旅を経ての最終目的地に着いた感慨に耽る。
まずは一の橋。
橋を通るだけでテンションが爆上がりしてしまう。これが武者震いっていうやつか(多分違う)。
張り出し
29巻282話で、先に到着した師団の兵を杉本がこの張り出しから飛び降りて脳天を銃剣で突き刺したシーン。
函館奉行館
五稜郭内の一番の見どころは一般的に言えばこの函館奉行所。建物を復元して、内部では五稜郭ならびに奉行所の関連資料を展示しています。五稜郭がそもそも何のために作られたのか、函館戦争とはどういう戦いであったのかを知ることができます。
兵糧庫
私が行ったのは9月1日でしたが、8月末までなら特別公開がされていたようです。ニアミス!!!薄暗い兵糧庫をのぞき込んで気分だけは味わう。
金塊のありかはここ?あの井戸は函館奉行所の裏手
五稜郭まで来たら当然探すのは金塊があったあの井戸。ネットで他の方々のブログやニュース記事を手掛かりに、函館奉行所の裏にようやく井戸の跡を発見。建物跡には看板がそれぞれ立っていますが、井戸にはないので、事前に調べておかないとグルグルとまわる羽目になるので、とにかく函館奉行所の裏と覚えておきましょう!
五稜郭タワー
五稜郭はやっぱり上から眺めた方がテンションが上がりますよね~。展望台料金は900円とちょっと高いですが、ここはやっぱり見ておきたい!ということで展望台にも登りました。高校の修学旅行以来の五稜郭。高校生の時は「本当に星型だー」くらいの感想しかなかった五稜郭を、本当に戦地(城郭)として意識的に見ることになろうとは(架空の戦だけど)。
展望台エリアには、函館戦争の経緯をジオラマで再現した展示も。爽やかニシパ(土方)の無念さが今ならわかる気がする。
土方歳三最期の地
土方の史実としての最後の戦いと、『ゴールデンカムイ』の最終戦へ思いをはせた後は、函館駅に戻ってお昼休憩。そして「土方歳三最期の地」へと向かいます。
「土方歳三最期の地」は、函館駅から歩いて10分ほどのところにある若松緑地公園の敷地内にありますが、道路には標識も出ているのでわかりやすいです。
そもそも史実としての土方歳三の最期の地も五稜郭と勝手に思っていたので漫画読んで「へーそうだったのか」と知ったくらい。『ゴールデンカムイ』をきっかけに史実としての函館戦争にも興味がわき、思いを馳せることができました。
私は朝一に団子を食べてから五稜郭に突撃したい!というこだわりでこのルートにしましたが、若干の無理は否めない。午前中に五稜郭→お昼→大沼公園駅に移動→大沼公園を散策&おやつに「だんご」コースでも良かったかなぁと反省。
本当なら土方歳三最期の地を訪ねた後は、尾形の最期の場所を探して「ここかな」と思うところで感傷に浸ろうかと思っていたのですが、これまでの6日間の疲れと寝不足と、久しぶりの晴天&五稜郭の日陰の無さで、バテてしまいました。
【ホテル】「海と灯 ヒューイットリゾート」
ということで函館1日目は早々に終了。ホテルに移動して早々に温泉に入って旅の疲れをリセット!北海道聖地巡礼の旅、最後の夜はリッチなホテルで旅の疲れをここですべて取るぞ!という思いで「海と灯 ヒューイットリゾート」を予約。
こちらのホテルは露天風呂が12階で海に面しているため、まるで海の中にいるかのような絶景が楽しめます。露天風呂から少し体を乗り出せば函館山も見えるので、湯船に浸かりながら日が沈む函館山を眺める贅沢な時間を過ごします。海の色が緑がかった淡い青色から、夜と共に暗くなっていく様をのんびりとただひたすら見つめる、この上ない贅沢。
またこちらのホテルは朝食ビュッフェがとにかく豪華‼豪華オブ豪華!!オリジナル海鮮丼は作れるし、ワインも飲み放題、洋食&スイーツも豊富!!私は食べなかったけど洋食派はオリジナルハンバーガーが作れたりするみたい。
もう贅沢を通り越してもはや背徳。できることなら朝食時間ギリギリまで居座って食べ尽くしてやりたかった。
函館湯の川温泉 海と灯 ヒューイットリゾート
露天風呂に漬かりながら津軽海峡を一望!まるで温泉と海がつながっているかのような借景が見事です。日が沈む函館山を眺めることができる究極の贅沢。
函館旅行にはお勧めの宿です!
土方・啄木浪漫館
さて、贅沢な1泊を過ごして最終日のこの日は函館山方面を攻めるつもりでしたが、急遽1か所追加したのが「土方・啄木浪漫館」。私が泊まった湯の川温泉エリアと函館駅のちょうど間にあります。
実はここ、すっかり忘れていて、朝に他の方のブログを読んで思い出しました。ホテルを湯の川温泉エリアにして良かった…。ちゃんと覚えていれば前日ホテルに向かう前に寄った方が効率的だったのに。事前の情報収集の大切さを実感(というより『ゴールデンカムイ』の聖地が多すぎるのよね(苦笑))。
館内の撮影がNGなのが残念ですが、こちらでは1Fが土方歳三、2Fが石川啄木にまつわる資料を展示しており、土方エリアでは土方(新選組)にまつわる刀剣や武具、資料、2Fでは啄木の生涯について資料や再現ジオラマなどで紹介しています。
浪漫館の前の海岸で「大団円」!!
さらに嬉しいことに、ここの売店でゴールデンカムイ缶を発見!サッポロビール博物館以降、お店に入る度に置いているかチェックしていたけど、どこも売っておらず諦めていました。それが、最終日の日に出会えるなんて!
しかも浪漫館の目の前は海岸が広がっています。バスの時間も迫っていたので砂浜まで降りることはできませんでしたが、函館の景色を背景に「大団円」な写真を一枚。私がお酒強ければこの海岸を眺めながら1缶飲みたかった…。
30巻31巻が出た時の大団円の描き下ろしイラストがどこの海岸をイメージしているかわからないけど、個人的にはこの函館でみた海岸線がイラストのイメージに近かったのと、最終決戦の場所である函館ということもあり、ここを勝手に大団円の場所として感傷に浸っていました。(大団円のイラスト持ってくればよかったと後悔しています)
私の旅行が2022年8月末~9月頭なので、この後に『ゴールデンカムイ展』福岡会場からの新グッズ「ロングタオル」(私の中では”大団円タオル”)の情報が出て口惜しいことなんのって。今から聖地巡礼する方にはぜひこの海岸線で大団円タオルを広げてほしい!!!
函館市北方民族資料館
函館駅からバスで旧ロシア領事館に向かうつもりでしたが、バスや市電を待つ時間が結構あり、歩いて行っても同じくらいの時間になりそうだったので歩いていくことに。
函館港近くで新島襄のアメリカ出航の銅像を発見!!京都にある同志社大学の創立者である新島襄は、北海道から密航でアメリカに渡り、帰国後にキリスト教系の大学である同志社大学を創ります。
我が母校・同志社大学につながる場所でもあったのか!感慨深い。
海岸沿いを歩き、赤レンガ倉庫を左手に眺めながら歩くこと約25分、「函館市北方民族博物館」に着きました。
アイヌ文化にまつわる装束、装身具、生活用品など、『金カム』読んでいればおなじみのものが多数展示されています。今回私が訪れた施設の中では一番北海道アイヌ、樺太アイヌなどの細かな文化のちがいを網羅的かつ分かりやすく展示してあったように思いました。随所にある館長の砕けた解説文もポイントです(笑)
ここで目新しかったのは、象牙に線を彫って彩色したもの。今まで行ったアイヌ関連の博物館でも見たことない品。文様にしてもこうした絵にしても、装飾性には目を見張るものがありますね。
旧ロシア領事館、称名寺
そして午後は函館山方面を散策。博物館からそのまま歩いて旧ロシア領事館に向かったのだけど、これはちょっと後悔。というのも函館山にあるっていうことは、坂道を上るっていうこと。めちゃくちゃ大変な山道を登るということではないけど、体力を温存するなら先にバスなどで旧ロシア領事館に行ってそこから坂道を下って博物館に行ってもよかったかな~。
とはいえ、なんとか旧ロシア領事館に到着。
鯉登少年が誘拐された時の犯人(のフリをした月島・菊田・尾形)が籠った場所(20巻198話)
急な坂道の途中に建つ旧ロシア領事館。現在は封鎖中のため中に入る事はできません。これ函館市がクラウドファンディングとかして活用できないものなのかしら。せっかく素敵な建物なのにもったいない。
土方歳三供養碑が建つ称名寺(しょうみょうじ)
旧ロシア領事館から徒歩5分のところに、称名寺というお寺があります。ここには土方歳三をはじめ函館戦争の旧幕府軍で亡くなった兵士の供養碑が建てられています。漫画には直接関係しませんが、歴史上函館の地がどういう場所だったかも忘れないようにお参り。
聖地巡礼旅を終えて
怒涛の『ゴールデンカムイ』北海道聖地巡礼の旅8日間、読んでくださった皆さんありがとうございます。そしてこの旅で一番実感したことは「1つのシーンを描くための準備がえげつない」ということでした。作中のキャラに思いを馳せたり必死に生き抜いた彼らの生き様、死に様に思いを馳せるのはもちろんなのだけど、それと同等、それ以上に、野田サトルという漫画家のクリエイティビティというか、「物語を創る」ということの覚悟に打ちひしがれました。
実際の北海道の場所と歴史を踏まえているから当然といえば当然なのだけど、例えば物語全体からすれば数パーセントの比率にしかならないであろうニシン御殿であっても、そのためにあんな小樽の果てまで行く。でもだからこその実感というか、内部描写の説得力が違ってくるのだと思う。
またこれは旅をして初めて思い至ったことだけど、各地で漫画には登場しないけれど魅力的な建物だったりは他にも沢山あります。おそらくそうした場所も取材ないしはチェックはしているはずで、その上で漫画に使う/使わないの取捨選択をしているはずです。作中に登場した場所自体も多いけれど、おそらくその何倍も”使っていない”場所(取材ネタ)もあることを思えば、実際に作者の野田先生や編集者の方の準備にかかる時間的・量的なものは膨大であったと想像できます。それだけの準備があるからこそ説得力と臨場感のある描写ができるのだと感じました。
第一線で活躍できる人の条件というのは、この世間の目にはさらされない部分でどれだけこの「準備」ができるか、なのかもしれないと思いました。
家に戻ってもう一度漫画を読み直すと、建物の内装など細かい部分も目に入るようになり、おなじ「見る」でも解像度が全然違ってきます。
ぜひ『ゴールデンカムイ』ファンの方はもちろん聖地巡礼の旅をしてほしい!!そして、北海道=大自然のイメージしかない人にも、北海道の歴史や文化を知るための一つのきっかけとして『ゴールデンカムイ』を読んだ上で北海道を旅してほしい。これまでとは全く違った部分に目が行くようになるはずですから!
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