【レシピ本】『七十二候の料理帖』~毎日の料理に季節とアートを~

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日々料理を作っていて「献立がマンネリ化しているな」「1年中似たような料理しか作ってないな」と思う事ありませんか?そんな人におすすめのレシピ本を紹介します。

『くらしのこよみ 七十二候の料理帖』


うつくしいくらしかた研究所が発行するこの『七十二候の料理帖』は、日本でも昔から取り入れられていた暦の区切りである「二十四節気」、その24の区切りをさらにそれぞれ3区分にする「七十二候」を基に、四季の移ろいを感じる一皿を作ることができるレシピ本です。

「二十四節気」「七十二候」とは

二十四節気
二十四節気とは、暦の区分として古くから日本で使われているもので、一般的に知られている「春分」「夏至」「秋分」「冬至」も二十四節気の1つです。1年の太陽の黄道上の動き、つまり360度を15度ごとに24等分して決められています。1年を春夏秋冬の四季で区切り、各季節をさらに6つに区切るのがこの二十四節気です。今でもカレンダーやスケジュール帳などで二十四節気を書いてあるものもあると思います。

七十二候
七十二候は二十四節気をさらにそれぞれ3つに分けたものです。大体5日程度の感覚で、その時期の自然現象を言葉にしたものが多く、言葉から季節のかすかな移ろいを実感することができます。

《例えば…》
第十候雀始巣〈すずめはじめてすくう〉」(3月20日頃)…雀が巣を作り始める時期。
第三十三候鷹乃学習〈たかすなわちわざをなす〉」(7月17日頃)…初夏に孵化した鷹の雛が飛び方を覚えて空へ羽ばたいていく時期
第四十七候蟄虫培戸〈むしかくれてとをふさぐ〉」…虫たちが冬ごもりで土に入って来る時期
第七十二候鶏始乳〈にわとりはじめてとやにつく〉」(1月30日頃)…春の到来を感じた鳥が卵を産み始める時期

七十二候を知っておくと、季節の変化を見過ごしてしまいがちの日々の生活の中で、ふと周りの風景に目を向けるきっかけになるでしょう。その七十二候を”料理”にしたのが本書です。

本書のおすすめポイント

1ページ1レシピの全72品、季節を知りながら作る

本書は1ページに1品、「七十二候」のそれぞれの言葉から連想されて作られた料理が紹介されています。今は「七十二候」の言葉を日常生活の中で見聞きすることはあまりないかと思いますが、本書ではその言葉の意味も簡単に紹介されているので、暦の言葉を知り、そのイメージを膨らませながら料理をすることができます。草木天地の変化を言葉にした「七十二候」と、自然の食材を使う「料理」、これほど相性の良いものはないでしょう。単に言葉だけを知るのではピンと来なかったり、「それを知って何になるの?」となっても、実際に食材としての自然を感じながらであれば、知識を”実感”として得ることができるのです。

私はこれまで料理を作る時(メニューを決める時)は「美味しいかどうか」、あるいは「簡単、手軽」「コスパがいい」ということしか基準を持っていませんでしたが、本書に出会って料理から「季節を知り感じる」こと、また次のポイントにも関係しますが、料理に対してこれまで”生きるための作業”という感覚だったのが、本書で「表現する」ための料理を体感しました。

季節を一皿の上に表現するアート

「四季を感じる料理」と言ってまず思い付く手法は、旬の食材を使うことだと思います。しかし本書は単に季節の食材を使うという事に留まりません。「七十二候」の言葉のイメージを料理で表現している点が私が最もおススメするポイントです。

例えば、第四候「土脉潤起〈つちのしょう うるおいおこる〉」のレシピは「竹麦魚(ほうぼう)を入れた贅沢ブイヤベース」。このレシピは次のように紹介されています。

しっとりとした春の雨が降り始め、冷たく締まっていた土を徐々に潤します。暦の上では春でも、まだまだ寒いこの時期、淡白ながらもコクのある竹麦魚と野菜の旨みを生かしたフランスの漁師風スープで温まりましょう。

うつくしいくらしかた研究所『七十二候の料理帖』より
実際に作ったブイヤベース(魚は赤魚)

春雨の水分を吸った土のにおい、春の暖かさを予感させる気分を感じつつ、スープで温まる。美味しいのはもちろん、この”春になる準備”というイメージをも自分の体内に取り入れていくような不思議な満ち足りた感覚になりました。

3~5工程で無理なく手軽にできる

旬の食材を使うものの、それほど入手困難なものではなく、ある程度の規模のスーパーなら手に入りそうなものばかり。またレシピの行程も大体3~5工程にまとめられており、料理があまり得意でない人でもチャレンジしやすいと思います。

”レシピ本あるある”に、「そろそろ晩ご飯作ろうかな」とレシピ本開いて「これにしよ!」といざ手順を読むと、下ごしらえで”2時間置く”とか”一晩寝かせる”という文言を見てイラっとすることありますよね。本書ではそうした手の込んだ(時間のかかる)行程のレシピはほとんどありません。

全レシピにざっと目を通して見た所、「一晩寝かせる」料理は72品中2品(「牡丹華〈ぼたんはなさく〉:クレソンとローストビーフのサンドイッチ」と、「虹蔵不見〈にじかくれてみえず〉:新大豆と挽き肉のチリ煮込み」)でした。あと一晩は寝かせませんが「酒と占地(しめじ)と胡桃のキッシュ」では調理時間30分と記載されていますが、トースターで焼く時間が30~40分でした(苦笑)

そうした”レシピ本あるある”は一部ありますが、基本的には夕方にレシピ本開いてメニューを決めて、スーパーで食材買ってきて作ることができるような内容になっています。何を隠そう、私自身料理に対して苦手意識があるのですが、このレシピだと「やれるかも!」と思える内容です。

さいごに

毎日働いて忙しくしている中で、季節の変化を細やかに掬い取れる機会を作ってくれる本書。少し料理が楽しくなるレシピが満載です!私も本書を使って料理のレパートリーを増やしていきたいですね!

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