久しぶりにEVERNOTEにログインした。たいして使っていないと思っていたら、学生時代のブログなどの記事が結構出てきた。思いがけない所で人生のタイムカプセルを開けてしまった。
その中からいくつかはいまにも通じることだと思うものがあったので、恥ずかしながらここであの頃の思いを留めておく。
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「欲少なくして足るを知る」
たった4文字、さらりと書き上げられた掛軸の正面に正座して膝の前で両手をつく。次は向きを斜めに変えて、竹製の水差しに飾られた花に目をやる。とても静かで細やかな所作。慣れない私はまだまだギコチナイ動きだが、こんなに些細な事にきちんと目を向ける時間に驚きと喜びを感じる。
土曜日の午後。友達に誘われて仁和寺の近くで茶道のお稽古に参加した。ただお茶を飲む作法を教えてもらえるだけかと思いきや、部屋への入り方から丁寧に教えていただいた。お部屋に入る時は壁に掛けられた軸や花の前に座ってそれを眺めるのも一連の作法なのだ(初めて知った)!!!
時計をはずし、ゆったりとした時間が部屋を包み込む。まず始めに教えていただく米田さんのお茶を飲ませていただき、次に茶道具を色々見せていただいた。棗(なつめ)というお抹茶を入れる容器、お茶碗、水差し、角道具、茶筅、黒文字・・・・色々な窯元が作る器や容器はそれぞれ個性的で、季節によってそれぞれの容器の組み合わせを考えるだけでも茶道の奥深さを感じる。最後に自分でお茶を点てさせて貰ったんだけどどのくらい点てれば良いのか全く分からない(笑)
飲んでみるとやっぱりきれいに混ぜられずに粉っぽかった。お茶の前に出していただいた茶菓子も「霜ばしら」という名前のとっても繊細なお菓子。小さな正方形のそのお菓子は白い糸が織り重なっているようでうっすらと透き通っている。一口食べると、その口溶けの儚さとほのかな甘みで心がくすぐられる。たった1時間半だったけど、やっぱり茶道は魅力的!!!書を読んで、花を愛でて、お菓子を頂いて、お茶を味わう。目も、耳も、鼻も、肌も、舌も、全ての感度を研ぎ澄まして・・・
「研ぎ澄まして」は何だか刃物みたいだからちょっと違うかな。全ての感度を「細やかに」して、その時間全てを楽しむ。無駄なものはなく、そこにあるもの全てに心を向け、気持ちを注ぐ。そんな感じ。
京都に来て4年目の秋にして、初めてのお茶。やみつきになるかも。
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初めて茶道に触れたのが2009年、ということはもう14年も前だ。そんな私は数年前から本格的に茶道の稽古を始めた。振り返ってみるとこの時の私の方がもっと全身で茶室の空間を味わっているな…。今は作法などのルールをきちんとこなせるかどうかに意識が向きすぎてるなと反省。
作法をしっかりと身につけることも大事だけど、ちゃんと心を「細やかに」することも怠らず磨き続けねば、と14年前の自分に教えられた2023年の年の瀬。
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