先日、滋賀の石山寺に行ってきました。旅の目的は後半に記すとして、今回初めて石山寺の紅葉ライトアップを観たけど、久しぶりに「すごい光景!!」と感動しました。
あたら夜もみじ@石山寺
紫式部が『源氏物語』の一節を思いうかんだ場所としても有名な滋賀の石山寺。秋になると紅葉の名所としても親しまれており、ただいま「あたら夜もみじ」としてライトアップが行われています。
「あたらよ」とは?
あまり聞き馴染みない「あたらよ」という言葉、漢字では「可惜夜」と書き、明けてしまうのが惜しい夜という意味です。
大らかな雰囲気に包まれた広大な石山寺の境内に色づく紅葉。幻想的な行燈の光に誘われてみる夜の紅葉と石山寺の風景は、まさに「可惜よ」に相応しい絶景です。
国宝の建築と紅葉の荘厳なコラボレーション
石山寺を象徴する硅灰岩(けいかいがん)。石山寺は、その名の通りこの岩の上に本堂や多宝塔が建てられており、ライトアップではさらに幻想的な景観が眼前に広がります。
公風園では『石山寺縁起絵巻』の行燈を使った演出
正門である東大門をくぐって参道を歩くと左手側にある「公風園」では、寺の宝物で重要文化財にも指定されている『石山寺縁起絵巻』の場面を表した行燈が!
明かりに照らされた平安時代の貴族たちがまるで浮かび上がって、まるで今にも動き出すかのような趣向の凝らした演出。
ライトアップは11月27日(日)までなので、お近くの方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
紅葉の茶会@公風園
さて、私が石山寺に訪問した目的。それは、11月19,20日に石山寺の境内にある「公風園」という庭園で、私が稽古をしている大原庵主催で「紅葉の茶会」を開催することになったからです。
1日6回の席(10時~、11時~、12時~、13時~、14時~、15時~)を土日の2日間行いましたが、各回とも多くのお客さんが参加してくれました。
今回は「御所籠」と呼ばれる茶箱を使った点前。道具類も紅葉にちなんだ趣向で取り揃え、自然の紅葉とお道具の紅葉が響きあっていました。しかも、点前をしている最中、台の上に風に吹かれて散る紅葉がハラハラと舞い落ちるという、予想外にして最高の演出で茶会の風情がさらに高まりました。
茶道をされている方も未経験という方、ご家族や友人、お1人様の方、外国の方など…様々な人が、紅葉に誘われ、お茶に興味を持って集まって、ほんのつかの間の時間を一緒に過ごす。
私が点前をした時の回では、正客の席に茶道を極めた方がいらっしゃったのですが、会が終わってお道具の拝見の時間の時に、今回の趣向に感激してくださり「可惜(あたら)よの茶会だった」というお言葉をいただきました。奇しくも「あたら夜もみじ」が開催されている石山寺で、参加してくださった方からこのような感想をいただけるなんて!!
茶道をされている方からのこうした言葉も光栄でうれしいですが、未経験の方の感想も同じくらいうれしい。とある夫婦であろうお客様のうち、男性の方にお茶を出した時「作法とか全然わからないけど、これは俺好みの茶碗だな!」という誰に言うでもなくおっしゃりました。
「茶道」と聞くと作法ばかりがまず意識に上りがちですが、一服の茶を飲む時間を楽しむことこそが大事で、そのお客様のシンプルだけど率直にその場を楽しまれているその言葉が妙にうれしく感じました。(特にお茶碗も様々な種類のものを用意していたので、たまたま選んだお茶碗がそのようにお客さんの好みに合っているというのも不思議な見えない縁というか、一座建立になっていくのかな…と思った次第)
土曜日は快晴でしたが、日曜は雨予報。どうなるか心配でしたが、結局夜中に降った雨は朝方には止んでおり、私たちが点前を始める頃には少しずつ日が差すほどで、2日目も無事に開催できました。
むしろ紅葉が濡れて一層鮮やかさを増して、快晴の時とはまた違った表情を見ることができました。2日間参加した私にとっては「紅葉のいいところ全部見た!」というくらい堪能しました。
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