2025年。明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
今年の展覧会初めは、東京都写真美術館。
東京都写真美術館のお正月
実は東京都写真美術館は、1月2日、3日の2日間は入館料無料というお年玉企画を実施しいている。
調べたら去年も同様の企画をしていたようなので、東京都写真美術館のお正月恒例企画になっているのかも。
「アレック・ソス」展
さて2025年の展覧会鑑賞の幕開けとなる「アレック・ソス」展。
チラシなどで気になっていた展示だけに、お正月企画で観ることができて嬉しい!
アレック・ソス(1969-、アメリカ・ミネソタ州生まれ)は、国際的な写真家集団、マグナム・フォトの正会員であり、生まれ育ったアメリカ中西部などを題材とした、写真で物語を紡ぎだすような作品で、世界的に高い評価を受けてきました。
展覧会HP(https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4820.html)より一部引用
「部屋」をテーマにして、初期作品から近年の作品まで、時系列ではない新しい切り口で構成したという本展。
「部屋」はそこに住む人の世界が凝縮されている空間。その小宇宙を写したアレック・ソスの写真は、まるで絵本の中の世界のような、夢の中の世界のような、どこか現実感のない浮遊感が漂う。
微睡むような光景にうっとりしたり、ハッとしたり…。東京の新宿にあるハイアットホテルで撮影した写真も展示されている。東京の夜景と窓ガラスに映り込むベッドに横たわる男性を写した写真。ガラス一枚の内と外の世界が合わさり、幻想的な一枚になっている。
アレック・ソスの写真は、その1枚で何か物語が生まれてきそうな気がする。その場所が持つ時間の流れ、空気、人の匂い、そうしたものを感じさせる要素をちりばめつつも、どこか一歩引いた目線で捉えているような感覚がする。その絶妙な距離感、切り取り方によって、独特な非現実的な雰囲気を作り上げているのだろう。
「現在地のまなざし」展
「現在地のまなざし展」では、新進気鋭の若手写真家5人の作品が展示されている。
かんのさゆり(Kanno Sayuri)
本展でもっとも興味深かったのが、かんのさゆりの《New Standard Landscape》。
パンフレットの文章と写真のクレジットから鑑みるに、東日本大震災で被災した地域において、復興して新しい住居が立ち並ぶ様子を”新しい故郷”ととらえ、その姿を映した作品群だ。
最初にキャプションを見ずに、家の外観を撮影したシリーズを見た時は、石元泰博の桂離宮の写真に通じるものを感じた。建物の構造の意味が薄れて線と線、面と面の交差により画面が分割されているような、フラットな印象を受けた。
その後、解説文を読み、写真から漂う独特の空気(人気のなさ、真新しさ、無味無臭な感じ)の理由が分かり、はっとさせられた。この光景は「こうなりたくてなった」ものではない。「こうならざるを得なかった」光景なのだと思うと、このキレイすぎる建物の写真が一気に違う空気をまとった。
原田裕規(Harada Yuki)
本展の最後に展示されている原田裕規の作品は、写真に写された内容ではなく、「物質としての写真」の在り方に注目した作品で興味深い。
倉庫に山積みになった膨大な写真。それらを「家族の愛情からも資本主義の論理からも見放された写真」と見なす。そして、そうして誰にも顧みられなくなった写真の数々を眺める様子を映像にした作品が展示されている。
また、展示室を出たところでは、来館者が実際にそれらの写真を手に取って観ることができるエリアも。捨てられたのか、持ち主も気づかないまま行方知れずになったのかーー。誰とも知らぬ人々の人生の一瞬が無造作に山積みになっている光景はなぜか胸を突くものがある。
ミュージアムカフェ「フロムトップ」でいっぷく
鑑賞後は、ミュージアムカフェ「フロムトップ」で、「いちじくとみかんのガトーショコラ」と、「屋久島の和紅茶」で一服。
濃厚なガトーショコラにいちじくとみかんの風味が良いアクセント。そして優しい味わいの和紅茶が合う!
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