【レビュー】「ぐるっとパス2022」の電子チケット(QRコード)ーどれだけお得?使い勝手は?

美術

東京・関東圏に住んでいる方で「ぐるっとパス」と聞いて「?」となった方、もしかしたら損してしまっているかもしれません。

「ぐるっとパス」とは「東京・ミュージアム ぐるっとパス」が正式名称で、都内(一部、千葉・神奈川も)の提携施設で、入館料無料、もしくは割引サービスを受けることができるパスす。コロナ禍による人数制限もあって大型の特別展では、入館料が2000円台を超える展覧会も増えています。「少しでもお得に美術展を楽しみたい」という方の強い味方が「ぐるっとパス」です

この記事では、実際に「ぐるっとパス」を使ってみた使い勝手や、どれだけお得か紹介していきます。

この記事はこんな人におススメ

・美術展に行くのが好きな方
・「ぐるっとパス」は知っているけど、具体的にどれだけお得か知りたいという方
・お得に美術館鑑賞を楽しみたい方
・人の多い展覧会は苦手…という方
・今まで行ったことのない美術館を開拓したい方
・美術を教養として嗜みたいなと思っている方

「ぐるっとパス」とは?

2500円でパスを購入すると、初回利用日から2ヶ月の間、提携する施設の入館料が無料、もしくは割引になる最強のコストパフォーマンスを誇るサービスです。

概要

東京ミュージアムぐるっとパス
・パスの種類:カード、電子チケット
・パス料金:2500円(税込)
・利用期限:初回の利用日から2ヶ月間(1施設につき1回)
・提携施設:101施設
・購入方法:
①カード…提携施設、指定の販売窓口
②電子チケット…オンライン

※詳しくは上記リンクをご参照ください。

美術ファンも、これから美術展ライフを始めたい人にもおススメ!

「美術館行くのが元々好きで頻繁に行く人にしか意味ないんじゃない?」と思うかもしれませんね。たしかに日頃から美術展をチェックしているような人にとっては圧倒的にお得なサービスです。

でも、この「ぐるっとパス」を2ヶ月間の(限定的ではありますが)”展覧会サブスク”だと思ってみると、2ヶ月2500円(1ヶ月1250円)で都内の中規模クラスの美術館に行くことができると思うと、美術ファンではない人にとっても、それほどハードルが高い感じはしないのではないでしょうか。

というよりも絶対お得になるんです。なぜかって?

元を取るために美術館に行こう!」って思うからです(笑)。かくいう私も今回「ぐるっとパス」を初めて利用したのですが、一度買うと、他に行きたい場所があった時に「ついでにぐるっとパスで行ける美術館はないか」と探して、色んな予定の隙間で行ける美術館を組み込むようになりました。

良くも悪くも”2ヶ月限定”なので、普段から足繫く展覧会に行く人にとっては必携ツールとして、「ちょっと美術館行ってみようかな」というひとでも”お試し期間”として利用してみると良いと思います。

よもつ
よもつ

これまでタイミングがなくて行ったことがない施設にも足を運ぶきっかけにもなります!

使える施設って本当にいい展覧会やっているの?

とは言っても「聞いたことある美術館は対象外っぽいけど、本当に良い展覧会をやっているの?」と思う方もいるのではないでしょうか。

●使える施設についてはこちら

確かにブロックバスター展と呼ばれる大型の特別展は対象外で、国立の博物館・美術館は「常設展が割引」になるといったところですが、「入館料無料」という太っ腹な施設の中でも、規模は大きくなくても見ごたえのあるコレクションを有している美術館も多くあります。例えば、

  • 泉屋博古館東京
  • 大倉集古館
  • 渋谷区立松濤美術館
  • 東京都写真美術館
  • たばこと塩の博物館    など・・・・

規模は大きくないのにコレクションの質が高い理由の1つが、近代日本を代表する実業家(数寄者)によるコレクションが基盤となっている美術館。例えば、泉屋博古館東京は住友グループの基礎を築いた住友吉左衛門純友(号:春翠)、大倉集古館はホテル・オークラの創始者である大倉喜八郎のコレクションが基盤になっています。

東京都写真美術館やたばこと塩の博物館などは、コレクションの分野が限定的なため、逆にその分野においては質・量ともに充実している、というパターンですね。

こんな風に、大きな美術館でなくても十分に楽しめる施設が多いのです。「行ったことない(聞いたことない)けど…」と思っても、そこに思いがけない「名品」との出会いがあるはず!

ぐるっとパスはどれだけお得?

でも2ヶ月で2500円って…本当にお得なの??
チケット代分も展覧会に行けるかな?

施設によっては約1000円の入館料が無料になることもあります。ざっくりと言えば入館料1000円の施設を2か所、500円の施設1か所行けば、元が取れます。それなら、エリアや提携施設によっては1日でチケット分を回収することも十分可能です。

利用期限は最初の利用日から2ヶ月なので、まずはサイトから使える施設の一覧や、サイト内で紹介している「活用ブログ」で興味のある展覧会があるかチェックしてみましょう。2ヶ月の内に行きたい展覧会や施設があるか、ご自身のスケジュールとすり合わせながら検討してみましょう。

活用ブログ | 東京・ミュージアム ぐるっとパス2023
よもつ
よもつ

大体2000円分(2~3か所ほど)で利用してみたい施設があれば買ってみていいのではないでしょうか?美術館だけでなく庭園などの施設も含まれているので、あとはその他の予定の隙間時間に活用するイメージなら、ハードルが下がるのではないでしょうか。

実際に使ってみた結果は?

私は5月27日(土)に購入しましたが、6月12日(日)までの間に「ぐるっとパス」を使って次の施設を訪問しました。

  • 出光美術館 「国宝手鑑「見努世友」と古筆の美」展(入館料1200円⇒200円割引
  • 東京都庭園美術館 「アール・デコの貴重書」展(入館料1000円⇒無料)
  • 旧岩崎邸庭園(入場料400円⇒無料)
  • 泉屋博古館東京 「光陰礼讃」展(入館料1000円⇒無料)
  • パナソニック汐留美術館 「ピカソ ひらめきの原点」展(入館料1200円⇒無料)

ぐるっとパスを使わなかった場合だと、合計4800円。対して「ぐるっとパス」を利用すると、チケット代2500円+出光美術館の差額分1000円で、合計3500円。1か月未満で、既に1300円も得したことになります!

よもつ
よもつ

さらに松濤美術館の「津田清楓」展、朝倉彫塑館、東京都写真美術館「メメント・モリ」展など、個人的に興味のある展覧会が続くので、コスパは良くなる一方です‼

電子チケットの使い心地は?

「ぐるっとパス」の電子チケットは、スマートフォンでQRコードを見せるだけ。これは設定次第だと思いますが、私はQRコードの画像をスクショにして保存しているので、画像フォルダからスクショ画像を見せて読み取ってもらっています。

画像フォルダに写真が溜まって来ると見つけ出すのに苦労するので、分かりやすいフォルダに入れ直しておけば、よりスマートに使えますね!

ちなみに電子チケットを買う際に、「Webket」というサイトに登録しますが、そのサイトにログインして見せたり、QRコードを印刷して使うことも可能です。ちなみに、Webketでは利用した履歴も見ることができます。

利用先①出光美術館

平安時代以降、手紙や書、短冊などに認められた書を”古筆(こひつ)”として、書の手本として、また観賞用とし愛でるようになります。そうした古筆と、それらを一冊にまとめた「手鑑」の世界を見る展覧会。出光美術館が所蔵する国宝の手鑑「見努世友(みぬよのとも)」が修復後の初公開。

なかなかに渋い展覧会でした!茶道を習っているなかで、書や和歌についても勉強し始めているので、古筆のことなら観ておこう、と行ってきました。書(文字)はどれも流麗な印象ですが、時代や書き手によってより「勤勉的」であったり「情緒的」であったりという、書の雰囲気を1点1点じっくりと味わうことができた展覧会でした。

利用先②東京都庭園美術館  

目黒駅から歩いて11分のところに位置する東京都庭園美術館。元々は朝香宮邸で、アールデコを基調とした洗練された建物はそれだけでうっとりとしてしまう美術館です。

館内はどこをどう撮影しても「美しい」。その品格ある佇まいは「映え」という言葉を一蹴させるようです。当時の一流の芸術家、装飾家たちによってデザインされた内装、それらを形にする職人・企業も一流の技術でもって、緻密に計算されて設えられています。アールデコのスッキリとした曲線美は、日常生活を送る上で余計な主張をせず(圧迫感を与えず)、生活に溶け込みながら、心地良い潤いをもたらしてくれそうです。

そんな朝香宮邸の中で見る19世紀フランスを中心にした書籍、雑誌などなど。平日の午後に休みを取って行ったのですが、贅沢過ぎる空間に身を浸して、優雅なひと時を過ごしました。

利用先③旧岩崎邸庭園

上野エリアにある旧岩崎庭園。三菱の創始者である岩崎彌太郎の長男・久彌の邸宅として造られた建物です。ちょうど6月に開催された「ミステリーツアー」に参加する予定があったので、入館料は「ぐるっとパス」で入館しました。(イベントの参加費は別途800円)
「ミステリーツアー」については、下記の記事で詳しく紹介しています。

旧岩崎庭園は平日に訪れると館内の写真撮影がOKのようです。私はミステリーツアーが土曜だったので残念なことに撮影はできませんでしたが、ぜひ旧岩崎庭園は平日に行くことをおススメします!!

よもつ
よもつ

不忍池と近いので、上野公園と一緒に行くと良いですね!

利用先④泉屋博古館東京

泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅱ 光陰礼讃 ―モネからはじまる住友洋画コレクション | 展覧会 | 泉屋博古館東京 <六本木>
泉屋博古館東京<六本木>の展覧会情報です。

写真撮影ができなかったので画像はありませんが、「光陰礼讃」展では、住友吉左衞門友純(春翠)が集めた近代西洋絵画や、明治期の日本の洋画などを展示しています。ポスターのメインビジュアルの1つになっているジャン・ポール=ローランスの「マルソー将軍の遺体の前のオーストリアの参謀たち」はかなり大きい作品で、こんな大きな作品を個人で購入できるなんて…しかも画題が中々ヘビーなのに…「優れた西洋の美術・文化を日本にも‼」と思う当時の実業家たちの情熱には頭が下がります。

展示作品も興味深いですが、本展の関連展示としてギャラリーにあったかつての住友家の邸宅(別荘だったかな?)の建築模型が何気にすごかったです!(笑)「こんな生活してみたーい!」という庶民の憧れを具現化したようなスケール感で、当時の財閥の凄さに打ちひしがれました。

利用先⑤パナソニック汐留美術館

イスラエル博物館が所蔵するピカソの版画作品を中心に展示されています。ピカソがリトグラフ作品を制作していたことは知っていましたが、これほど精力的だったとは!!写真の撮影はできませんでしたが、ピカソが母親を亡くした際に描いた女性像の絵が印象的でした。青の背景でデフォルメされた女性の姿。まるで何かから解放されたような清々しさを感じます。ポーラ美術館に所蔵されている「青の時代」と言われた時の初期の頃の「海辺の母子像」では、深い青に敬虔に祈るような母親の姿が印象的ですが、まるでその作品との時空を超えた対比を感じました。

私が行った時はちょうど一部展示エリアが撮影可能になっていました。

おわりに

美術ファンにとっては「ぐるっとパス」は美術館巡りの強い味方!!お財布を中身を気にすることなく、思いっきり美に浸ることができます。そして「美術は詳しくないけど興味はある」という人にとっても、手ごろに美術鑑賞ライフを始めることができる嬉しいサービスになっています。

「ぐるっとパス」を賢く活用して、心もお財布的にも豊かに美術鑑賞をしていきましょう!

最後まで読んでいただきありがとうございます‼
もしよろしければ、下記ボタンのクリックで応援していただけると嬉しいです!

にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました