何かを買う時、人に頼まれた時――。思わず同意してしまった時、その選択は本当にあなたの意志?
実はそれ、相手に「誘導」されているかも?そんな身近に潜む「影響力」を心理学の観点から解き明かそうとしているのが、ロバート・B・チャルディーニ『影響力の正体』だ。
書誌情報
書名:影響力の正体 説得のカラクリを心理学があばく
著者:ロバート・B・チャルディーニ (著), 岩田 佳代子 (翻訳)
出版社:SBクリエイティブ
発行:2013/12/13
ジャンル:心理学
心理学で読み解く、影響力の6つの正体とは
人に影響力を与える要素は心理学の6つの原理、「返報性」、「一貫性」、「社会的証明」、「好意」、「権威」、「希少性」に分類できる。説得のプロたちはどのようにこれらの原理を利用し、消費者から「イエス」を引き出すのかを実験結果を用いて解説します。
Amazon商品ページより
長年、たくみな営業マンの被害者だった心理学者の筆者が、承諾誘導のプロの世界にみずから飛び込み彼らのテクニックを観察した結果、それらの多くは心理学の原理に基づく6つのカテゴリー――「恩義」、「整合性」、「社会な的証明」、「好意」、「権威」、「希少性」――に分類できることに気がついた。
説得のプロたちはどのようにこれらの原理を利用し、消費者から「イエス」の言葉を引き出すのだろうか? わかり易いエピソードや多くの実験例からその仕組みを解き明かします。
手に取った理由
本書に興味を持ったのは、茶道で同じ稽古場に通う男性(元ユニクロの凄腕だった方)が最近読んでいるということからだった。その方もハーバード大学の何かの講座を受けていて、そこで紹介されていたから、ということらしい。
心理学にそれほど強い関心があった訳ではないが、ちょうど仕事の関係で「消費者に行動を促す」というポイントはぜひとも知っておきたい点でもあり、見た目はかなり分厚いが、意を決して手に取る。
感想
まず、約400ページと見た目は中々に分厚いが、読み始めると意外とサクサク読めてしまうので、「難しいのでは」「読み切れるのか」と不安の人もぜひチャレンジしてほしい。この本で取り上げている6つのポイント――「返報性」「一貫性」「社会的証明」「好意」「権威」「希少性」――前半3つなど一見堅苦しくみえるが、読んでいけば言っていることはそれほど難しいことではない。
要は、「先に相手からプレゼントをもらったら、お返しとして相手の要求を(自身が望むようなものでなくても)承諾しやすい(=返報性)」だったり、「一度何かしらのスタンスを表明すると、その後はその主張に自らの行動を合わせていく傾向にある(=一貫性)」など、言われてみれば自身の行動に身に覚えのあるような出来事がいくつも思い浮かぶような内容だ。
それはつまり、それだけ知らず知らずのうちに、「自分で選択した」と思っている時に、色々な要素が影響を与えているということだ。他にも冒頭に紹介されているが、販売営業などでよくある手法として「比較」が分かりやすい例だろう。何かを相手にしてほしい時に、最初に少しハードルの高い要求をして、その後にその条件を下げた提案をして相手に妥協させる常套手段だ。
事例には心理学の実験結果や、中国によるアメリカ人捕虜への処遇、いわゆるネットワークビジネス(訪問販売)や宗教など、様々なエピソードが紹介されている。
本書自体はそうした相手が仕掛けてくる「罠(=影響力)」に気づくか、という視点で語られているが、仕事でマーケティングや宣伝を担当する人にとっては、「どう仕掛けられるか」という点でも、非常に興味深い。
本書が出たのが2013年。今はもうSNSの時代で、本書で紹介されているような訪問販売やネットワークビジネスなども一時代前の事例に思えるが、手法が何であれ、その根本にある「心理」はそう変わることではない。むしろより巧妙にその「罠」が仕掛けられいているとも言えるだろう。
自身の「消費者」としての振る舞いを振り返り、誰かに「踊らされない」でいるためにどうすればいいか、あるいは自分が「仕掛ける側」として、どういう道筋を作れば、相手が行動に移すのか、その視点を持って読むことをお勧めする。
こんな人におすすめ
・(時間やお金、人間関係などで)「何か浪費しているな」と感じている人
・仕事でマーケティングや宣伝などを担当している人
・仕事で交渉するシーンが多い人

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