アーティゾン美術館デビューは「はじまりから、いま。」展がおススメ

美術

もしアーティゾン美術館と聞いて「?どこ?どんな美術館?」と思ったなら、今すぐアーティゾン美術館に行く予定を立てましょう!今ならアーティゾン美術館で古今東西の美術を満喫できる展覧会が開催されています。

アーティゾン美術館とは

東京駅から歩いて6分(googleマップ調べ)の位置にあるアーティゾン美術館は、2020年開館のできたてホヤホヤの美術館…と言ってもその歴史は約70年。「どういう事?」と思ったかもしれませんが、元々1952年に開館したブリヂストン美術館が、ビルの建て替え工事で一旦休館、再開の折に館名を変更して新たなスタートを切った美術館です。(美術好きの方はブリヂストン美術館の方がまだ親近感があるかもしれませんね)

「ARTIZON」(アーティゾン)は、「ART」(アート)と「HORIZON」(ホライゾン:地平)を組み合わせた造語で、時代を切り拓くアートの地平を多くの方に感じ取っていただきたい、という意志が込められています。新しい美術館のコンセプトは「創造の体感」。古代美術、印象派、日本の近世美術、日本近代洋画、20世紀美術、そして現代美術まで視野を広げます。アーティゾン美術館は、23階建て高層ビル「ミュージアムタワー京橋」の低層部に位置し、展示室は4-6階の3フロア、旧美術館の約2倍の面積に拡張され、最新の照明や空調設備を伴い、美術の多彩な楽しみを提供していきます。

美術館HPより一部抜粋

アーティゾン美術館は”新しさ”と”歴史”の両方をもつ美術館なのですね。

「はじまりから、いま」展

この展覧会では、前身であるブリジストン美術館からの約70年の歴史を振り返り、その「はじまり」から、アーティゾン美術館としての「いま」の姿を展観します。

展覧会のみどころ

ポイント①美術館の歴史を体感&今まさに生まれる芸術に出会える

展覧会はまずブリヂストン美術館時代からの歴代の展覧会ポスターから始まります。時代ごとのデザインセンスの変遷を見ながら、美術館の歴史を体感します。

そして第1章が「アーティゾン美術館の誕生」。”アーティゾン美術館”として新たに収蔵した藤島武二《東洋振り》。横顔を描く肖像画はイタリアの肖像画を彷彿とさせますが、女性の装束が中国趣味。洋の東西の文化・風俗が一枚の絵の中で融合されています。これが、展覧会の終盤、同じく藤島武二の《黒扇》(こちらはブリヂストン美術館時代からのコレクション)が展示されることで、伏線回収されていくような感覚を覚えました。

ここでは、アーティゾン美術館となって新たな試みとなる「ジャム・セッション」についても取り上げられています。これは、現代のアーティストが、美術館のコレクション作品などから着想を得て新たな作品を作り展示、作られた作品は新たなコレクションとなります。美術館が芸術を「守る」場所としてだけでなく、「生まれる」場所にまでなる、それを事業の核にしているのはこのアーティゾン美術館ならではの特徴ではないでしょうか。
初年度となる2020年は鴻池朋子、昨年2021年は森村泰昌が「ジャム・セッション」に参加。それぞれの展覧会でハイライトとなる作品が今回展示されているので、見逃したという人も本展でそのエッセンスを体感しよう!

鴻池朋子《襖絵(地球断面図、流れ、竜巻、石)》(部分)、2020年

個人的には、もしアーティゾン美術館に毎回通うのは難しいという場合「ジャム・セッション」展だけでも押さえておくのが良いのではと思います。この場所でしか見れない、というかこの場所だから生まれた作品、その作品が生まれた瞬間(同時代)を体験できるのだから!

ポイント②世界は「ザオ・ウーキー」に出会う

私的には本展の最大の収穫はこの「ザオ・ウーキー」という作家を知ったこと。中国生まれで、パリに渡ると抽象絵画で独自の画風を切り開いた作家とのことですが、多分一般的にはまだそれほど知られてはいないのではないでしょうか(これまで私があまり目にした事なかったか気に留めていなかっただけかもしれませんが)。でも、石橋財団にはこのザオ・ウーキーの作品がまとまってコレクションされており、今回それらが一望できる(おそらく)滅多にないチャンスです!

中国生まれ故に「中国趣味」にならないよう墨を使うことをさけていたのを、1970年からは墨も使うようになり、また新しい作風を展開させたとの事だが、コレクションにはこの墨を使った大画面作品が所蔵されている。

ザオ・ウーキー《無題》1982年

抽象画とも言えるし、水墨画とも言えるこの作品、私は最初に遠目で見た時「烏の大群」のようだなーと思いました。見る人それぞれが、それまでの人生の中で見てきたものを投影できるのではないでしょうか。そういう意味で心理学とかで聞くロールシャッハテストのようでもありますね。

ポイント③芸術家の記録映画が面白い!

ブリヂストン美術館では、1950~60年代に前田青邨や横山大観など当時の芸術家たちの製作の様子を映した記録映画のしていました。展覧会ではその内のいくつかが上映されていますが、それが結構面白い。「名前は聞いたことあるけどこんな風貌だったのか~」という感慨があります。

個人的には和田三造が、蝶ネクタイにジャケット(というめかし込んだ格好で)テーブルで新聞を読んで寛ぐ姿が「これはアトリエの風景なのか‥‥?」と思わずにはいられないシーンがツボでした(笑)(音声があまり聞き取れなかったので映画のナレーションでどういう説明がされているのか理解できなかったので余計にそう思ってしまいました)

…というは冗談にしても、令和の時代にはもう”歴史上の人物”にもなりかけているそうした画家たちの生きている姿を映像として見ることができる貴重な機会です。あと前田青邨が皇居に飾るために描いた《石橋》の制作過程の記録映画も上映されており、これは歌舞伎・能を見る人には是非ともこの映像を見るためだけに本展を訪れることをおススメしたい。

展覧会概要

会期:2022年1月29日~4月10日
開館時間:10時~18時(毎週金曜日は20時まで)
休館日:月曜日(3/21は開館)、3/22
入館料:一般(ウェブ予約)1,200円
       (当日窓口)1,500円
    学生(当日予約)無料
    ローソンチケットで購入の場合1,200円
美術館HP:https://www.artizon.museum/

行く前の注意点

音声ガイドは無料。自身のスマホ&イヤホンが必須なので、利用する方はイヤホンをお忘れなく。
 ※イヤホンはミュージアムショップで約1000~2000円台で販売
紙コップのコーヒーを飲む人は事前に紙コップを処分してから入館
 ※以前紙コップ持参で入館しようとしたら「捨ててから」と言われてしまいました。
  商業ビルの中にある美術館だとビルのトイレで捨てられるけど、その感覚で行くと危険。

+αで行くならここもおススメ

アーティゾン美術館から歩いて行くことができる、その他のおススメの展覧会を紹介します。

  • 上野リチ展」@三菱一号館美術館(~5/15)
    ※入館料:一般1,900円、高校・大学生:1,000円、小中学生:無料
    ※第2水曜日の17時以降に限り「マジックアワーチケット」で1,200円
  • 万物資生 中村裕太は、資生堂と  を調合する」@資生堂ギャラリー(~5/29)
    ※入場無料
  • 「ポーラミュージアムアネックス展2022」@ポーラミュージアムアネックス
    (前期:2月11日~3月13日、後期3/18~4/17)
    ※入場無料

私はポーラミュージアムアネックスと資生堂ギャラリーをハシゴしましたが、どちらも面白かったです(またこちらの記事も書く予定)!資生堂ギャラリーはアーティゾン美術館からだと少し遠いですが、暖かくなってきたので気持ちよく銀プラしながら寄ってみてはどうでしょうか。

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