『ゴールデンカムイ』の聖地巡礼として最も外すことのできない場所といっても過言ではないのが「北海道開拓の村」。歴史的な建築物を移築して復元展示している施設ですが、ここに展示されている多くの建物の外観・内装が作中に登場します。
「北海道開拓の村」に行く前の準備&見学時の注意点
準備段階での注意点
準備段階での注意点をいくつか紹介します。
①靴は着脱がしやすく、ちょっとした山道も歩けるもの
半数以上の建物で靴を脱いで見学するため、靴は履きやすく脱ぎやすい物がおすすめ(スリッポンがベスト)。いくつかの建物が山の中にあるので、サンダルやヒールは不向き。
②見学中の荷物はなるべくコンパクトに!(鞄1つがベスト)※コインロッカー有り
個人住居などはドアや廊下が狭く、他の見学者とすれ違う時や写真を撮ろうと後ろに下がった時などに荷物が建物に当ってしまうことがあるので、見学時の荷物はなるべくコンパクトに。
③日傘より帽子がおすすめ(雨傘は施設で貸してくれるので心配不要)
建物への出入りを繰り返すので、日傘より帽子の方がストレスフリー。私が行った日は曇り空という事もあり、ほぼ1日帽子で過ごしました。
④工事等で一部見学不可の建物・エリアがあるので要注意!
建物によっては耐震工事や修復等の工事のため、全面的に見学NG、もしくは「2階はNG」など一部見学不可の場合があります。絶対に外せない建物が工事していないかHPでチェックしましょう。
見学時の注意点
開拓の村についてからの注意点は下記の通り!
金カムファンはチケット購入したら、まず左手(ショップの奥の)ホールに移動!!!
ファンは入館チケットを購入したら、はやる気持ちを少し抑えて、まず左手のホール1、待合室のようなエリアに入りましょう。そこには、野田サトル先生、アニメで杉元佐一役の小林親弘さん、アシリパ役の白石晴香さんの色紙が展示されています
どの建物がゴールデンカムイに登場したかをマップで確認!!!
そして見逃せないのが、ここで「開拓の村」のどの建物が漫画のどのシーンに登場したかを説明した解説パネルとマップがあります!事前調査がしっかりできていなくても、ここでざっとおさらいできます!それによると52施設のうち33ヶ所が作中に登場するとのこと。とりあえず館内の建物は全部見ておけばいいですね!(笑)
事前に準備したい方はHPでも館内MAPのPDFが公開されているので、自分でメモしておくのもいいかも。(館内で配布されているMAPは該当施設に○印がついてあります)
②リュックの人は見学中はリュックを前に!
②の「リュックは前に」というのは、荷物をコンパクトにすることと関連しますが、個人住居などは大きくないので、写真を撮ろうと下がったりした時に壁や襖にぶつからないよう、リュックの場合は前にしておいた方が安心です。
いざ見学開始!
どのルートで回るかは見学の時間帯と滞在時間によりますが、市街地郡が一番密集しているので、まずは「市街地郡」から回るといいと思います。私はお昼ご飯も食堂を利用する予定だったので、午前中に「市街地郡」「漁村郡」を周って入口に戻るようにして周り、午後に「山村部」「農村部」を回りました。
※以下、漫画のネタバレがありますのでご注意ください。
市街地郡
まずは市街地郡。線路を挟んだ両側に建物が並んでいます。
旧札幌停車場
・外観:土方陣営が物売りに変装しているシーン(24巻240話)
・外観:杉元・土方陣営が五稜郭に向かうシーン(28巻274話)
「開拓の村」のエントランスの建物そのものが旧札幌停車場で、作中でも登場します。五稜郭に向かう時の駅として出てきたことは覚えていたけど、あの尾形が「親孝行」をしていたシーンにも描かれていたとは‼(帰ってから気づいた)
旧手宮駅長官舎
・外観:茨戸の用心棒編で”ケツあご”署長の分署として署長の背景に登場(6巻55話)
・部屋:江渡貝邸を見張る月島・二階堂の隠れ場所として(8巻71話)
・階段:江渡貝邸での戦闘シーンで尾形が2階に上がるシーン(9巻81話)
他の方の聖地巡礼記事で、茨戸の抗争で土方が通り抜ける民家(第6巻58話)、また江渡貝邸での戦闘シーンで尾形が2階に上がるシーンの階段(9巻81話)もここの階段をモデルにしているのでは?という紹介がされていました。その1コマは知らなかったので撮影できず…悔しい。
旧開拓使爾志通洋造家
・外観:モンスター(羆)退治を要求した牧場経営家エディー・ダンの邸宅として(7巻63 話)
2つの庇と屋根の両端の突起?が特徴的ですね。
旧福士家住宅
・和室:土方陣営のアジト
①尾形が「のっぺらぼうはアイヌなんだろ」と指摘するシーン(8巻70話)
②ノラ尾形が火鉢をケーンケーンするシーン(23巻222話)
入口のある建物は洋風建築ですが、奥の和風建築とつながっており、そちらが『金カム』ファンにとっては聖地!
籐椅子の位置こそちょっとズレているけど、ほとんど同じ。もう見える、尾形が見える。土方が見えるよ…(泣)
※部屋の中には入れないので、外の廊下から撮影のみ可能。
旧松橋家住宅
・内装:鶴見中尉が杉元に団子の串を指す名シーン(2巻16話)
・内装:谷垣が鶴見中尉に自身の過去とカネ餅について語るシーンで(8巻75、76話)
旧有島家住宅
・外観:土方陣営のアジト
①土方が永倉と会話するシーン(3巻20話)
②尾形が土方に「のっぺらぼうはアイヌなんだろ?」と聞くシーン(8巻70話)
③門倉&キラウシが花札するシーン(23巻222話)
旧浦河支庁庁舎
・外観&内装:家永の営む「世界ホテル」(6巻50~54話)
特に階段の手すりのデザインが分かりやすいですね。全面ピンクなんて可愛すぎるデザイン
旧小樽新聞社
・外観:石川啄木が白石に遊郭で新聞(写真)について語るシーン(13巻124話)
小樽新聞社は私が行った時は工事のために全面足場が組まれていました(泣)(2022年8月時点)
聖地巡礼する時は工事情報なども念のためチェックしておくのが良いですね。。。(とはいえこれだけ建物が多ければ、いつ行っても何かしらの建物が工事してそうでもありますが…)
旧北海中学校
・外観:宇佐美の回想で通っていた学校として(23巻226話)
・内装(テーブル):江渡貝邸の食卓(8巻71、72話)
旧龍雲寺
・外観・内装:土方陣営のアジト(23巻223話)
ここは土方陣営がねぐらを変えて移動した寺として登場します。白鳥鍋してたあの修学旅行のような雰囲気がいつまでも続いてくれれば良かったのに…。
旧島歌郵便局
・谷垣がアシリパの叔父から電報を受け取っていた郵便局(11巻101話)
・陸軍の追手につけられていた夏太郎が自分の尻拭いのため兵士と戦うシーン(12巻117話)
旧山本理髪店
・外観・内装:茨戸の用心棒編の理髪店(6巻55~59話、57話扉絵)
聖地巡礼の難易度1の山本理髪店。外観もそのままだし、内装どころか「尾形がいる‼」(笑)スリッパが革靴にしか見えない。
『ゴールデンカムイ』未読と思われる社会見学の小学生や大人たちには一様に「うわっ中に変な人いる」「怖っ人いる」って怖がられていました(笑)…その”怖い人”に会いに東京から来る人もいるのだよ…
旧渡辺商店
・サーカス団の長吉が鯉登少尉に追いかけられているシーン(16巻154話)
ここは実は見学中は気づいてなくて、他の方の聖地巡礼記事で初めて知りました。鯉登が追いかけて木の枝にぶら下がった後、折れた枝が頭にぶつかったシーンの後、長吉が家の中に逃げる時の家でした!
旧浦河公会会堂
・内装:鶴見中尉がソフィアとアシリパと対面し、暗号を聞き出した教会(27巻264~271話)
鶴見中尉がウイルクとの因縁と「のっぺらぼう」になるまでの全てをアシリパとソフィアに語り、「ゴールデンカムイ」のタイトル回収をした強烈なインパクトを残した名場面の教会。鶴見中尉が座っていた特徴的な椅子も壁にありました。
ちなみに外観は札幌の日本基督教団札幌教会がモデルです(札幌編で紹介予定)。
旧来正旅館
・内観:尾形が母親を毒殺したシーン(11巻103話)
・外観:都丹庵士一味のアジト(12巻・13巻)
※内観:第20巻で宇佐美と二階堂が泊まった宿でもあるそうです
この部屋が尾形がおっかぁに毒入りのあんこう鍋を食べさせたシーン。よく見ると背景の箪笥や吊るされた着物がありますね。
旧三〼河本そば屋
・外観:牛山と土方が出会うシーン(2巻12話)
・外観&内装:小樽で杉元が鰊そばを食べていたお店(2巻15話)
この後二階堂兄弟がやって来て、鶴見中尉と対面する流れになる場面です。中央の煙突、「きそば」の看板が特徴的ですね。
旧武井商店酒造部
・外観(側面):第七師団の兵舎(2巻・3巻)
・外観(正面):茨戸にある久寿田馬吉の本陣の旅館(6巻)
・階段:小樽編で土方が陽動作戦で爆破させたシーン(4巻34話)
・樽の並んだ棚:樺太・大泊で先遣隊が訪ねたフレップ本舗(14巻140話)
この建物、何故かほとんど写真を撮っておらず(見学時にあまり意識してなかったので)、開拓の村HPの解説動画(9:34~)で紹介されていますのでこちらでご確認ください。
下の写真の途中で曲がった階段とその下の箪笥、奥の部屋の感じは、小樽編で土方が陽動作戦で爆破させた時の内観に似てますね。
樽が並んだ棚がさりげなく樺太編(大泊)のフレップ本舗の内装として描かれています。鯉登少尉がフレップを杉元にかけるシーンですね。
旧近藤医院
・手術室:牛山が家永を看病する病院(6巻55話)
・外観:網走の病院
①14巻…監獄での戦闘後に杉元が入院
②23巻229話:樺太後インカラマッ奪還の谷垣回想シーン
・受付:江渡貝邸の作業場
旧武岡商店
・外観:樺太の商店で日用品の買い出し(白石がヴァシリに足を撃たれるシーン)(21巻)
樺太の建物までこの「開拓の村」の建物をモデルにしているんですね。暖簾が目印!
旧広瀬写真館
・外観&内装:杉元たちが写真を撮るシーン(第13巻124話)
網走監獄潜入直前に、杉元&土方一行が根室で田本研三に写真を撮ってもらうシーン。建物の外観も2階の撮影部屋もそっくりそのままに登場します。よく考えたらなぜ「広瀬」写真館で「田本研三」が写真を撮っているのかの理屈が気になってしまう。
旧札幌農学校寄宿舎(恵迪寮)
・応接室?:旭川第七師団の聯隊司令部(白石奪還のため犬童典獄に扮した鈴川と杉元と鯉登が対面するシーン(10巻97話)
・階段:鯉登の回想(誘拐事件後、第七師団に入った鯉登と尾形がすれ違ってにらみ合う)(20巻200話)
記念すべき鯉登少尉の初登場&薩摩弁対決の部屋も、あの因縁のにらみ合った階段もそのまま登場します!この廊下の壁と勇作さんに尾形は挟まれてたのかな??
ちなみに2階の寄宿部屋はこんな感じ。当時の学生たちの生活がうかがえます。
漁村群
旧土谷家はねだし
・アシリパが杉本の傷の手当てをしているシーン(22巻)
写真左の清水寺のように斜面に建つのが「はねだし」。入口正面側の写真を撮り忘れてしまいました。青山別邸&秋山邸の尾形関連の建物に舞い上がってしまいました。
旧青山家漁家住宅
・内装:辺見和雄のいたニシン番屋(4巻37話、5巻39話)
・外観&内装:茨戸で尾形が日泥の父親を撃つ&「どんなもんだい」のシーン(6巻59話)
・内装:尾形の回想シーン(花沢幸次郎邸として)(11巻103話)
小樽にある青山別邸の青山家が所持していた番屋がまさにこれ。でかい!!!
1つの建物の内装をアングル違いで別の設定として登場するというのが、聖地巡礼ビギナーとしては、かなり厄介(苦笑)。
廊下
※茨戸の日泥親子宅の物置として登場するようです。
この「廊下」実はわたしすっかり見落としていました。青山邸の存在感が大きすぎて、失念しておりました。見落とし要注意です!動画の15:32で紹介されています。
旧秋山家漁家住宅
・外観:土方が引き入れようとした渋川のアジト(3巻21話)
・台所:尾形の回想で母親が台所に立つシーン(11巻103話)
・囲炉裏:杉元の回想(杉元の実家として)(24巻236話)
母に振り向いてもらえなかった尾形の回想と、父から家に縛られなくていいと言ってもらえた杉元の回想、対照的な二人の人生の回想シーンが同じ建物をモデルにしているなんて…
農村部
旧山本消防組番屋
・櫓:尾形がいた櫓(6巻57話の茨戸編)
「茨戸の用心棒」編で尾形が大活躍した櫓!!漫画では鐘が台座(三角部分)の外に出ていますが、実物は中に納まっているんですね(さすがの尾形でも中にある鐘を命中させるのは無理があるからという改変でしょうか?)。
旧ソーケシュオマベツ駅逓所
・外観: キロランケが騎手となって競馬競争をした際の厩舎(7巻62話)
・外観:夏太郎が家永に襲われてた時の土方のアジト(12巻117話)
旧田村家北誠館蚕種製造所
・外観&内装:関谷に捕まった土方の救出で、門倉が毒ルーレットをした場所(18巻175話)
作中でも「蚕種製造所」として登場します。いくつかの部屋が並びますが、部屋の両サイドに蚕の棚が設えてあるこちらの部屋が、門倉と関谷が毒ルーレット対決をした場所ですね。
蚕の「種繭雌雄鑑別機」あったー!!!他にもさまざまな道具が展示されていますが、これだけ異彩を放つビジュアル。そりゃ漫画にも登場させたくなるわ。
旧納内屯田兵屋
・内観:レタラが白石を見つけた時の白石の潜伏場所(2巻17話)
・外観:谷垣の回想に出てくる屯田兵官舎(8巻75話)
ここも実は後から気づきました(汗)特に8巻の谷垣の回想は、谷垣の背景として描かれているので、一番特徴的な屋根が谷垣でほぼ見えません。これに最初に気づいた方凄すぎます。
旧樋口家農家住宅
・外観:バッタの大群から逃げて避難した番屋として。ラッコ鍋を食べた場所(12巻)
・釧路のコタンにあるアイヌ民族の家(16巻)
あまりいい写真が撮れていなかったので、こちらも解説動画で外観等はご覧ください。20:03~が樋口家住宅の解説です。『ゴールデカムイ』前半のハイライト(インパクト大)のエピソードの1つであるラッコ鍋シーンで杉元らが避難した建物です。
旧小川家酪農畜舎
・外観:牧場を経営するエディー・ダン(ヒグマ退治を依頼する)の畜舎(7巻63話)
旧菊田家農家住宅
外観:エディー・ダンの依頼でヒグマ退治する際に逃げた小屋(親分と出会う)(7巻66話)
山村群
旧平造材部飯場
・外観&内装:有古が二重スパイで土方陣営に戻った時の土方陣営の潜伏場所(21巻208話)
「開拓の村」食堂グルメ
お昼は入口近くにある食堂。もう一ヶ所軽食がとれるお店があるようですが、私が行ったときはそちらはお休み。食堂は広くて明るい空間。
ここまで来たら「鰊そば」といきたいところだけど、小樽で食べてしまったので、今日はカレーと芋餅(黒蜜きなこ)を注文。
まとめ
実際に開拓の村を見学&まとめ記事を書いて思ったのは、「あのワンシーンのモデルがここ⁉」とちょっとした背景や建物もモデルがあること。作品としてのクオリティの細やかさ、取材量(イメージソース)のストックの多さに脱帽しました。
あと基本的に漫画よりも実際の建物の方が小ぶりに感じたので、そのあたりのスケール感(キャラクターと建物の比率)は調整して、物語のスケール感を大きくさせているのかなと思いました。
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