s**t kingz日本武道館「THE s**t」(上)

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推しのs**t kingzが歴史を刻んだ。

そのステージを、感じたことを、自分の言葉で記録しておきたい。ということで、当日感じたこと、アーカイブ配信を見て気づいたことなども織り交ぜて、私の感じた「THE s**t」を3回に分けてお送りする。

「ここから長いわ!」(by せがママ)

Opening~『FFP feat. C&K』

オープニングの映像が流れだす。光がさす映像、シッキンの4人が目を覚ますシーン、夜明け。これから「史上初!ダンサーによる日本武道館単独公演」という歴史的瞬間が始まる。映像は、まさにその「夜明け」を象徴しており、会場の期待が沸々と沸き上がる。

その会場の沸点を表すように、燃える太陽が中央スクリーンに目いっぱいに現れる。その太陽を背負って、中央スクリーンがサイドに開き、ついに4人が登場する。衣装はカラフルなジャケットとデニムのフレアパンツ。可愛らしさとカッコよさ、クラシカル(フォーマル)さとストリート感(カジュアル)のバランスが絶妙なスタイリングで、武道館という晴れ舞台、これから始まる最高に上がるパーティーへとエスコートしてくれるちょっとやんちゃな紳士たちだ。ちなみにスタイリストの森田晃嘉氏のInstagramに投稿された解説によると、彼らのジャケットに付けられたスワロフスキーのストーン計1476個は、全部手で取り付けられているようで、shojiがリーダーということで一番多く428個だそうだ!(以下、衣装についての説明は森田氏のInstagramからの解説を基にしている)

登場すると、Oguri「来たぜ武道館!」shoji「伝説作るぞ!」NOPPO「準備はできてるか!」kazuki「楽しもうぜ!」と気合の雄叫びを上げる。観客を煽っているけど、ソレ以上に自分たち自身の心を奮い立たせているようであった。「シッキンの4人が気負っている!!!」今までのライブではない、余裕のある煽りではない。緊張感と喜びがないまぜになった「すがすがしさ」!

そして、伝説になるライブの幕開けは「関係者も、お友達も、古参ファンもご新規さんも、お連れの方も、どうぞお見知り置きを」とばかりに、名刺代わりの『FFP feat. C&K』。太陽背負って4人(匹)のファーストペンギンが飛び上がる。客も飛び上がる!!「踊る革命家」「ダンスが好きなただの変人」「お先に行って先陣切る」…全てのフレーズがシッキンを表す。

『On my side feat. issei』

続いては『On my side feat. issei』。元々カズキのソロ曲だったのを4人バージョンにアレンジ。手の細やかな動きが醸す色気などソロパフォーマンス時のテイストを残しつつ、4人になったことで色気のニュアンスが4倍になる。「あさイチ」でいつもニコニコでダンスエクササイズをする「人のいいお兄さん」位に思ってる人には声を出して注意喚起したい。「騙されないで!この人たちどえらいセクシーな人たちだぞ!」と。帽子で目元が隠れるからこそ不敵な笑みが際立つ。悪いお兄さんだ。素人はよくもまぁ絶対に失敗したくない武道館1dayという日に、あのNOPPOさんの帽子パフォーマンス(落とした帽子を爪先でキャッチする)するよなと思うじゃん。いくら世界的ダンサーとはいえ、小道具を使う分リスクが高くなるのに……それをやっちゃうし、決めちゃうしで、

おれたちにできない事を平然とやってのけるッ
そこにシビれる!あこがれるゥ!

(『ジョジョの奇妙な冒険』より)

あの瞬間にテロップを入れるなら、間違いなく「ズキュゥゥゥン」という擬音語が入るだろう。円盤化の際にはぜひ本家の『ジョジョ』張りのズキュゥゥゥンを入れてほしい。異論は認めない。

『TRASH TALK feat. Novel Core』~MC

怒濤のようにアップテンポな曲が続く。『TRASH TALK feat. Novel Core』は、2021年の舞台「ハロルミ」のテーマ曲。ゴミ目線の歌詞のシニカルな内容と53ダンスのキャッチーさを併せ持つ上がる一曲。元々の振付では終始4人が近くにいるフォーメーションのため、そのままパフォーマンスすると武道館の間合いに合わないのを、後半はサイドステージに広がって会場全体で53ダンスをして会場の一体感を作り上げ、そのままラストにいく。

shojiの挨拶中にサイドステージにいた2人が戻ってくる。まだまだ一息なんてつかせない。shojiの「さぁ始めようか」でサラッとファンを尊死させたあと披露するのは、最も激しい振付としてメンバーからリスペクトあるクレーム(笑)がでる一曲『Get on the floor feat. MaL, ACHARU & DREAD MC』。ぶち上がらない訳がない。見てるだけでもカロリー使う。踊ピポの時よりもさらに激しく踊る4人。会場の大きさが、さらにダンスの迫力を上げる。

そしてここでようやく長めのMC。改めて一人ずつ自己紹介の挨拶、バンドメンバーの紹介が入る。踊ピポからのツアーメンバーだからもう空気感はバッチリ。

『Just Like That feat. Sam is Ohm』(shojiソロ)~映像

そしてメンバーのソロパフォーマンスへ。その先陣を切るのは…メンバー1元気な男shoji。『Just Like That feat. Sam is Ohm』によるバッチコイ!なノリで、さっきまで散々ハードなダンスを踊っていたとは思えないパッションでさらに踊る。沸かす。「笑顔の下に獣を隠す」shojiのソロは、エキゾチックで彼のダンスのルーツであるレゲエのムードが漂う。配信をみて改めて思うが、めちゃくちゃ激しく動く振付の後に、ちょっと首をかしげる振りを入れる、緩急の付け方が本当にキャッチーでクセになる。中毒性が高い。そういえば、ファンの間で「肩股間」でおなじみとなった「Too hard to choose feat. MARTER」が見れなかったのは残念(笑)

ソロが終わると再び映像になる。冒頭の宇宙スケールのダイナミックさではなく、水の音、鳥の羽ばたき、高解像度のスロー映像で、ミクロな世界は冒頭の宇宙との対比。宇宙の映像が、「ダンサーとして前人未到の世界を作る」という彼らの壮大な目標(野心)を表すなら、このスローな映像は彼らのダンスの解像度の高さ(細やかさ)といえる。1秒以下の音のリズム、強弱、音の質感を捉え、表現する。そのミクロレベルの感性と表現力があるからこそ宇宙を震わせることができるのだ。

『Haze feat.Shin Sakiura×ぷにぷに電機』

衣装チェンジして再び4人が登場する。この時の衣装に大胆にあしらわれた花の絵はそれぞれの誕生花だそうだ(shoji=エキザカム〔10/20〕、kazuki=ハギ〔9/24〕、Oguri=マンサク〔1/6〕、NOPPO=ハナトラノオ(花虎の尾)〔8/19〕)。彼らの生まれてから今日までの時間、ダンスを始めてからの時間を誕生花が包み込み、祝福し、この歴史的大舞台で、まさに花を添える。

そんな衣装で踊る『Haze feat.Shin Sakiura×ぷにぷに電機』は椅子を使ったパフォーマンス。シッキンのしっとりしたナンバーの代表格といえる作品。椅子をさまざまに動かす数学的な動きと、森の中で佇むような静謐(せいひつ)な雰囲気の掛け合わせが心地よい作品だ。

即興ダンス(Oguriソロ)

「踊ピポ」ツアーからOguriのソロはこの即興ダンスを披露している。踊ピポではルーレットでその日のテーマを決めていたが、今回は自身のダンス人生を振り返る。思い出を語りながら踊りだす。まずは、体全身に響くベースの音と共にダンスを始めた「ロックダンス」、とにかく踊る楽しさに夢中になる少年小栗基裕の姿がそこにある。続いて、キーボードの流れるようなサウンドと共に大学時代にジャズやヒップホップなど様々なジャンルを身につけたこと、ギターの音色と共に、シッキンを組んだ時を踊る。尖りながら、がむしゃらに踊った日々、若者特有の強気と野心が現れる。でも、バトルに出るとボロ負けという挫折をドラムの音に合わせて踊る。でも、それでも「ダンスが大好きだ!」という思いを、バンド全体による明るい曲で踊ってこれでハッピー…と思いきや、人と比べたり、焦ったりというネガティブが顔を出す。……でもそれが俺のやり方だ!!と、息を切らしながらのダンスは胸が鷲掴みされるような心地だった。目を閉じ嬉しそうに踊るオグリの姿がひたすらに愛おしい。

『Bright feat. 渡辺大知』『心躍らせて feat. 上野大樹』

Oguriソロから続くようにナレーションが入る。負けそうな自分、自身のない自分、情けない自分、そんな自分を受け入れるための応援歌『Bright feat. 渡辺大知』のパフォーマンスとなる。4人それぞれがおなじ振付を踊るが、1列に並んで踊る4人は最後まで絡むことなく、それぞれの世界の中で踊る。そしてスポットライトもラストまでは一人ずつ、ランダムに当たっていく。

「踊ピポ」でも同じ構成だったのに、武道館でこのパフォーマンスを見た時「こんなに仲良くて、15年も一緒にいたとしても、痛みや葛藤や苦しみは、それぞれのものでしかないんだな。」と思った。ライブハウスで行っていた「踊ピポ」よりも、さらに4人の感覚が広がったからだろうか。4人で横並びでいても、孤独な闘いをしているように思えたのだ。そして、ランダムに当たる光も、「自分の都合に合わせてスポットライトは当たるわけじゃない。だからもがき続けて行くしかないんだ」というメッセージに感じられた。

そんなパフォーマンスの後は、『心躍らせて feat. 上野大樹』。これも舞台『ハロルミ』のコンセプトソングで、くすぶってる主人公の葛藤やモヤモヤ、それを抱えたま生きていく姿を表現したパフォーマンスだ。バックのモニターにはMVを流しながら踊る。『ハロルミ』の時は人形のA子が主人公で、そのA子を励ます(寄り添う)存在として4人がこの曲で踊っていたが、A子不在の武道館では、シッキン4人が「モヤモヤを抱える主人公」として踊っているようだった。


(中)に続く

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